行政 : 政府、移送サービスで統一見解
2月12日、国土交通省と厚生労働省は、NPO法人など非営利団体が要介護者を病院などに移送する「介護輸送サービス」について、普通2種免許やタクシー事業許可がなくても認める「中間整理案」を公表した。両省は、この案についてパブリックコメントを募集中。来月には「介護輸送に係る道路運送法の運用基準」を決め、新年度から適用する。
高齢者や障害者が通院に利用する「介護輸送サービス」(政府の用語による。以下同じ)で介護報酬を得るには、「タクシー事業の許可が必要とする国土交通省と、必要ないとする厚生労働省の見解が対立し、自治体の取り扱いもまちまちで、現場では混乱が続いていた。
移送サービスを行うNPO法人やボランティア団体にとって、道路運送法のタクシー事業許可を取得することや、運転者が二種免許を取得することは容易ではない。
そのため事業許可が必要とされた地域ではサービスの継続ができなくなり、その結果、高齢者や障害者が、これまで利用していた「介護輸送サービス」が利用できなくなるといった事態も生じていた。
こうした混乱を解消するため、2月12日、国土交通省と厚生労働省は、「介護輸送」に係る法的取り扱いを「中間整理案」としてまとめ、両省同時に公表した。
「中間整理案」では、
- 訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、道路運送法の事業許可(一般又は特定)によることを原則とする、
- NPO等の非営利法人は、一定の手続き、条件の下で、自家用自動車の有償運送許可によることができる、
- 訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合についても、自家用自動車の有償運送許可によることができる、
- 一定の準備期間の後、訪問介護サービス等に連続して移送を行う場合は、道路運送上の許可を求めることとして無許可で輸送を行う事業者については、介護報酬の対象としないものとする、
とされている。
両省は、この「中間整理案」に対するパブリックコメントを募集している。締め切りは2月29日。
パブリックコメントの結果を受け、国交省は3月中に「介護輸送に関する道路運送法の運用基準」を決定して、新年度より適用する。
国土交通省自動車交通局旅客課の担当者によれば、
「厚生労働省、関連団体などと協議を重ねてこの整理案をまとめた。整理案は、国土交通省、厚生労働省のホームページで公表している。
パブリックコメントは、郵送、電子メール、FAXで受け付けているので、介護輸送事業にかかわっている方、介護輸送サービスを受けている方などの現場の声がたくさんよせられることを期待している。
一般の方からの率直な意見、素朴な疑問なども、どしどしお寄せいただきたい。情報共有していくので、両省のいずれかに送ってもらえればいい。」
とのことである。
「介護輸送に係る法的取扱いに対する意見の募集について」は下記を参照のこと。
国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/09/090212_.html
電子政府の総合窓口(厚生労働省、意見募集)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BSEQNO=0000000411