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2004年03月25日 10:00

行政 : 報告書未提出法人へ過料増加

 各所轄庁は、事業報告書などを提出していないNPO法人への対応を強化している。NPO法では、一年に一回、提出が義務付けられている事業報告書を未提出の場合は過料の罰則となるが、今年度に入って監督を強化する所轄庁が徐々に増え始めた。来年度から適用する指導方針をWEB上で公開する所轄庁もでてきている。

 

 NPO法では、事業報告書や役員名簿等を事業年度が終了してから一定期間後に、所轄庁に提出しなければならないことになっている。期限は所轄庁により異なるが3ケ月としているところが多い。この提出を怠った場合は、その法人の理事、監事など個人に対して、二十万円以下の過料が課されることになっている。

 しかし、実際に過料の通知をするかどうかは、所轄庁の判断にまかされており、従来は、過料手続き自体をしていないところがほとんどだった。

 内閣府や東京都、神奈川県、大阪府では、法律にのっとって随時過料手続きをしている。新潟県や京都府、千葉県で例があるが、新潟県は昨年度に1件、今年度に1件、京都府や千葉は今年度にはいってからそれぞれ2件、5件の過料通知手続きを行った。

 一方で他県は、NPO法人の数が少ないこともあり、電話や督促状による催促で提出を促しているようだ。件数も多くはない。

 では、実際にNPO法人の役員らに過料が課されているかどうかであるが、所轄庁では把握できない仕組みになっている。手続き上は、所轄庁が「過料事件通知書」を地方裁判所に送付する。所轄庁でできるのはここまでで、この過料が実際に個人に課されるかどうかは、裁判所の判断によることになるからだ。そして、裁判所の決定については、通常は所轄庁に知らされることはない。

 千葉県では、昨年12月に5団体について、その理事と監事を対象とした「過料事件通知書」を裁判所に送付したが、裁判所では、「不処分」となっていたことが分かった。今回、千葉県議会で、NPO法人の監督について議論の俎上に上がったことから判明した。

 理由は明らかでないが、千葉県では、「提出期限を1度過ぎた程度であり、その超過期間も長くはない、ということだろうか」と推測する。

 過料通知をするまでは、電話や内容証明・配達証明書の送付など手数がかかっているだけに、裁判所の判断を知ることができないのは、所轄庁にとってもどかしい思いもあるようだ。

 NPO法上は、理事と監事を対象に過料通知できることになっているが、理事全員を対象にするかどうかも所轄庁の判断による。理事全員を対象としているところもあれば、理事長のみを対象としているところもある。この扱いも所轄庁によりさまざまである。

 このような現場での模索が続くなか、来年度からの指導方針をWEB上で公表し、意見を募る所轄庁もでてきた。長野県では昨年11月に、滋賀県、静岡県では今年2月に、来年度の方針についてWEB上で対応フローを公開した。

 いずれも期限を明記し、段階をおって所轄庁が行う催促方法について説明している。滋賀県、長野県では、裁判所に対して「過料通知」を行った場合、県のホームページ上で公表することも明らかにしている。

 これらの手続きについてホームページで事前に告知することによって、行政手続きの透明性の確保と、義務違反の抑制効果をねらう。これらについては、3県とも特に異論などは寄せられていないという。

 今年度にはいってからこのような動きが加速していることについて、複数の所轄庁が、「悪質なNPO法人について、新聞、雑誌などで取り上げられることが増えてきている」ことを理由に挙げる。今年度にはいってから内閣府がNPO法人への指導方針を公開し、監督を強化することをうちだしていることも所轄庁にとっては追い風とうつる。

 内閣府では、

「別の所轄庁から事業報告書未提出のNPO法人に対して、どのような対応をしたらいいか、問い合わせがはいることもある。そのときは、法上の手続きについて説明をするし、適切に過料などの罰則を課していくべきでしょう」

と話す。

 2月には、事業報告書を3年以上提出してこなかった法人に対して、内閣府は、認証を取り消す処分を行った。

 情報公開をすることによって、市民によるチェック機能を果たすことに重点を置くNPO法。報告書の提出という、最低限の説明責任を果たさないNPOに対して、今後、所轄庁による監督は厳しくなっていくものと予想される。

 シーズの事務局長・松原は、

「事業報告書の未提出に対して過料通知を行うというのは、NPO法で明確に定められた規定である。所轄庁が、法律に定められていない監督や指導を行うのは問題だが、むしろこのような法律できちんと定められた手続きはしっかり行っていく必要がある」

と語っている。

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