行政 : 福岡市がNPO支援基金創設
福岡市は、「NPO活動支援基金(仮称)」の条例案を3月議会に提出する。議会を通れば、政令市ではじめての基金方式でのNPO支援制度となる。基金に寄附した市民は一定の税優遇措置を享受できる仕組みで、市では、一般からの寄附を広く募る方針だ。
山崎広太郎福岡市長は、寄附によるNPO支援の土壌づくりに取り組むことを公約としており、市では、2003年の秋ごろより、その仕組みについて検討していた。
NPO支援の助成制度としては、信託銀行に市が委託する公益信託なども考えられるが、自治体のなかに設置された基金に寄附をすると、その市民は、所得から一定の寄附金を控除できるようになる。市では、寄附を促進することもねらいとしていたため、基金方式を採用したという。
市では、行政だけでなく、市民が一体となって基金づくりに取り組むことで、「NPO法人の経済的自立を促進することに加えて、寄附を通した社会参加・社会貢献意欲を高める中から寄附文化の土壌を開拓し、市民自らが市民公益活動を推進するための環境づくりに寄与することができる」と基金設置の趣旨を説明する。
基本財産は1000万円。そこに一般市民からの寄附を積み増していく。寄附者は、特定のNPO法人または活動分野を希望して寄附できるが、あくまでそれは尊重されるにとどまる。特定のNPO法人へそのまま寄附金が渡る仕組みだと、市をスルーするいわゆる「トンネル寄附」となりかねないからだ。
基金に寄附をした個人は、所得税と地方税での寄附金控除を一定の範囲内で受けることができ、法人は、法人税において通常の損金算入限度額にかかわらず全額損金算入できるしくみ。
市では、支援を受けたいNPO法人を公募し、登録リストに掲載。それを一般に広く公開して、寄附をする際の判断材料としてもらう予定。また、実際に助成する際は、公開の審査会で審査するという。
担当者は、「なるべく、基本財産を取り崩さないかたちで、できる限り市民からの寄附でNPOを支援できるような社会的機運づくりをしたい」と話す。寄附が集まるのを一定程度待ってから、2004年秋以降に助成を実施する予定だ。