行政 : 地域再生プログラム策定
政府の地域再生本部(本部長:小泉内閣総理大臣)は、2月27日、「地域再生推進のためのプログラム」を策定した。このプログラムでは、141件の再生策が認定された。TMOにNPO法人が参加可能になるほか、都市公園の施設管理の民間開放や廃校校舎の転用が可能になるなど、公共施設の民間委託がすすみそうだ。政府は、関連法案9法案を今通常国会に提出する。
地域再生本部は昨年10月に発足。地域経済の活性化と地域雇用の創造を、地域の視点から積極的かつ総合的に推進するため、12月に「地域再生推進のための基本指針」を策定、1月中旬まで、全国から地域再生に関する具体案を募集していた。
地域再生本部に集まった提案は、673件。自治体からの提案がほとんどだったが、NPOや企業などからも寄せられた。このうち、実施可能な支援策について、各省庁に照会するなど、検討していた。
このたび認定された支援策は141件。内訳は、地域限定措置が23件。全国的に実施されるものが118件となる。
このうち、NPOに関係しそうな施策は、以下のようなもの。
地域限定措置として推進されるのは、地域通貨モデルシステムの導入支援、補助金で整備された公立学校の廃校校舎等の転用弾力化、社会福祉施設の転用弾力化、公営住宅の目的外使用承認の柔軟化、国立公園区域の拡大などの措置。
全国的に実施される措置としては、まちづくり事業を実施するタウンマネジメント機関(TMO)にNPOを追加、NPOによる高齢者や障害者の有償移送サービスの全国実施、コミュニティバスの許可基準の弾力化、コミュニティサービス事業の活性化支援、エコツーリズム支援、映画ロケ、イベント、カーレースなどに伴う道路使用許可の円滑化、河川敷などを利用するオープンカフェ等を実施する社会実験における河川占用許可の弾力化、カヌーやレガッタ大会等の河川敷のイベント促進のための「水辺の自由使用ガイドライン」の策定、バイオマス利活用フロンティア整備事業補助対象実施主体の拡大、国民生活金融公庫の無担保・無保証の新創業融資制度の拡充(融資限度額550万から750万円へ)、都市公園施設管理の民間開放促進など。
これら規制緩和や弾力的運用のほか、地域再生の担い手育成のためのノウハウ支援のために、「地域再生伝道師」を選定して、ネットワーク化するほか、地域再生の具体的・実務的ノウハウを有する企業等を「地域再生マネージャー」に選定して、地域再生に関する業務を委託するシステムを構築する。
政府は、ほとんどは政令や省令の改正、通達などで対応するが、法律の制定や改正が必要な9法案を今通常国会に提出し、早期成立を目指す。新たに制定を目指すのは、良好な景観の形成のための規制や、景観整備機構による支援等の仕組みを創設する「景観法案」と、「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」。
今後は、地方公共団体が単独又は共同で、政府が示したプログラム内の支援メニューのいずれかを含めた「地域再生を図るための計画(「地域再生計画」)」を作成し、内閣総理大臣に申請する。
内閣総理大臣がその計画を認定すれば、その区域内において、集中的に支援措置が実施されることになる。申請の主体は地方公共団体だが、支援措置を受けようとする民間事業者等の意見を聴かなければならない。
同本部は、政府の取り組みや「地域再生推進のためのプログラム」をPRするために、全国各地でタウンミーティングや説明会を開催していく。すでに実施された東京説明会では、400人の参加があったいう。
同本部は、6月にも、2回目の提案を募集する予定。
多くの自治体から提案されていた認定NPO法人制度の要件緩和や、NPO法人に対する社会福祉法人と同等の税制優遇措置、信用保証協会の対象にNPOを追加することなどは、新たな財源措置を必要としたり、歳入歳出計画に影響を与えることから、地域再生の基本方針にそぐわないとして、退けられた。
地域再生本部の事務局のある内閣官房には、苦情処理・相談窓口が設置された。民間から地方公共団体への提案をしたにもかかわらず、地方公共団体から回答がない場合等に、相談に応じるという。地域再生本部の代表電話は、03-5521-6718。
「地域再生推進のためのプログラム」の詳細は以下のURLを参照のこと。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiikisaisei/