行政 : 日本で初、「良心の囚人」
国際人権NGOであるアムネスティ・インターナショナル(国際事務局ロンドン)は、今年2月27日に東京立川で逮捕された平和運動家3人を「良心の囚人」として認定した。1961年のアムネスティ発足以来、日本における「良心の囚人」認定はこれが初めて。3人は「イラクへの自衛隊派遣を慎重に」と呼びかけるビラを自衛隊官舎の郵便受けに配布したことを理由に、立川市内の警察の留置所に勾留されている。
アムネスティ・インターナショナルは、世界60カ国に約176万人の会員を持ち、1977年にノーベル平和賞も受賞した国際的な人権NGO。「良心の囚人」とは、非暴力にもかかわらず、思想信条・人種・言語・皮膚の色などの違いを理由に囚われている人を意味する。
2月27日に逮捕された3人は、東京都立川市の「立川自衛隊監視テント村」のメンバー。先立つ1月17日に、立川市内の自衛隊官舎の郵便受けに、「自衛隊のイラク派遣をいっしょに考え反対しよう」という内容の呼びかけビラを配布した。
この自衛隊官舎には柵もなく誰でも入れるため、日頃から出前や不動産などの様々なチラシが配布されているというが、警察は、今回のビラ配布を刑法第130条の住居侵入罪にあたるとして逮捕した。
3月19日には起訴された。
アムネスティは、彼らの逮捕は、日本国憲法第21条や、日本も加盟する国際人権条約「自由権規約」の第19条に定められた表現の自由を犯すものであるとして、強く非難し、3人の即時無条件釈放を求めている。
アムネスティによれば、逮捕された3人は、弁護人の立会いもないまま、逮捕後、毎日6時間から8時間にも及ぶ取調べを警視庁から受けているという。また、彼らの家族に対しても、家宅捜査、容疑とは無関係なノートやコンピュータ類の押収、また本人を説得するようにという、脅迫とも取れる嫌がらせが行われている点をアムネスティは懸念している。
アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は、
「これまでも様々な理由で警察が不当な介入をすることはあった。しかし、今回は住居侵入罪の乱用で起訴まで到った点を深く憂慮し、許されないことと強く抗議する。今回、『良心の囚人』が日本で初めて生まれた訳だが、これは日本における表現の自由が危機に瀕している現実を映し出しているものと捉えている」
と述べている。
3人の第一回公判は、5月6日に八王子地裁で行われる予定となっている。