行政 : NPOのための「会計支援茨城」発足
4月15日、茨城県内の公認会計士や税理士などが、NPOの会計・税務を支援する目的で「会計支援茨城」(代表・神山直規税理士)を発足させた。このようなNPOを支援する会計士・税理士のネットワークは全国的にひろがりつつある。
「会計支援茨城」の目的は、会計・税務の専門家や会計実務の経験者が連携してNPOを支援することで、NPOの経営改善とアカウンタビリティの向上を図り、市民活動の発展に寄与すること。
「会計支援茨城」では、公認会計士や税理士からなる「専門家チーム」が、決算書作成のガイドライン作り、県内NPOの決算報告のチェック、NPO向け会計システム作り、個別相談会やセミナーへの協力をおこなう。
あわせて、企業の経理部門などでの実務経験者が「会計サポーターチーム」を構成。会計システムの立ち上げ支援、経理書類管理などの日常業務や決算業務に関する支援をおこなう。「会計サポーター」の指導・相談には、「専門家チーム」がネットなどを使って随時対応していく。
当面は、茨城NPOセンター・コモンズに事務局をおき、協力者と支援希望団体のコーディネイトをおこなっていく。
事務局によれば、「現在、県内の公認会計士や税理士に協力を呼びかけている。また、NPOの日常的な会計支援のできる会計実務経験者を募集している。公認会計士、税理士を含めて、より多くのサポーターと力を合わせて、NPOの活動を支援していきたい。」とのこと。
NPO法人が急増するなか、会計や税務に関するニーズは高まっているが、多くのNPOでは、会計・税務についての実務に通じた人材を雇用する余裕がないのが現実。
このような現状を踏まえて、各地でNPOの会計・税務を支援する専門家集団の活動が生まれてきている。
全国的なレベルでは、シーズの「なんでも質問箱」の回答者である公認会計士の赤塚和俊氏が理事長を務める「NPO会計税務専門家ネットワーク」が昨年より活動を開始。100名を超える全国各地の会計・税務の専門家やNPO支援団体関係者が参画して会計処理の方法、税法の解釈、税務署の動きなどについて情報交換をするネットワークができている。
また、赤塚氏によると、地域でも、会計士・税理士の専門家のネットワークは広がりをみせているとのことだ。
宮城県では、NPOを支援するために、税理士が中心にNPO法人をすでに設立。長野県では、税理士が中心になってNPO法人向け会計のガイドブックをつくっている。埼玉県や青森県でも、税理士のネットワークが生まれてきている。
一方、行政レベルでも、このような会計士・税理士を登録して、NPOを支援する制度をつくっている自治体もある。
一例だが、静岡県と岩手県では、県がNPO支援策の一環として、支援者登録をした公認会計士、税理士などの専門家を希望に応じてNPOへ派遣している。
このような専門家集団による、NPOを支援する動きは、今後ますます広がっていくと予想される。
なお、「会計支援茨城」に関する問い合わせは、茨城NPOセンター・コモンズ(電話029・300・4321)まで。