行政 : 有識者会議、第三者機関創設が多数意見
政府の「公益法人制度改革に関する有識者会議」の第10回会合が4月28日、開催された。この会合で、公益性判断主体としては中立的な第三者機関設立が相応しいとの意見が多数を占めた。有識者会議では、今後夏までに公益性の判断要件や法人ガバナンスのあり方などについて具体的に議論し、秋には報告書をとりまとめる予定。
4月28日に開催された、金子一義行革担当大臣の私的諮問機関「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長・福原義春資生堂名誉会長)の第10回会合では、公益性の判断主体や、公益性を有する法人の目的の捉え方について議論された。
3月31日に発表された「議論の中間整理」では、非営利法人は準則主義で設立できるようにする一方で、「公益性」を有すると判断される法人については、何らかの優遇措置を与えることとするいわゆる「二階建て方式」の枠組みを想定。その判断主体や公益性の要件をどのようなものにするかの具体論については、今後の検討課題としていた。
第10回会合では、「中間整理」で焦点のひとつとなった公益性の判断主体について、A案のなかでも単一の公的機関ではなく、中立的で第三者的な公的機関とする案が支持を集めた。公益性を認定することの効果をもっぱら税制優遇措置と捉え、課税庁が判断するB案とが列挙されていたが、課税当局による公益性の認定は困難ではないかと不評だった。行革事務局によると、「今後、A案を中心に検討をすすめていく方向であるとはいえるが、まだ決定したわけではない」としている。
政府は、5月10日まで、電子メール、郵送、FAXにて「議論の中間整理」に対する意見を募集していたが、これらがどの程度今後の意見に反映されるかは不明。
次回の会合は5月17日で、今後は、以下のようなスケジュールで議論していく。
- 第11回会合(5月17日)
有識者会議のメンバーとなっている公益法人関係者4名より、法人の運営実態についてヒアリング - 第12回会合(5月26日)
- 公益性の考え方や判断要件のあり方
- ガバナンス・情報開示のあり方
(理事の責任・理事に対するコントロールのあり方、国民一般に対する開示の必要性、法人の規律に係る具体的判断基準等)
- 第13回会合(6月上旬)
ガバナンス・情報開示のあり方 - 第14回会合(6月下旬)
- 判断主体のあり方(第三者的又は単一の公的機関の具体的枠組み、地方における判断のあり方等)
- 事後チェックのあり方(不適切な活動の是正手段等)
- 第15回~(7月上中旬)
考え方Aを中心にした仕組みのあり方
第15回以降の日程と検討事項はまだ発表されていないが、7月にはいると急ピッチで具体論をつめていくと見られる。政府としては、夏までには、有識者会議において、非営利法人制度の具体的枠組みを固め、秋には報告書としてまとめたい意向だ。
一方、非営利法人の税制部分について検討する税制調査会の非営利法人課税ワーキンググループの議論は、法人制度がかたまる7月以降から開始される見込みとなっている。