行政 : ジュニア・インターンシップにNPO
2000年度から本格的にスタートした、高校生が就業体験をする「ジュニア・インターンシップ」制度で、NPOを紹介する冊子が登場している。長野労働局が長野県NPOセンターに委託して作成した「ジュニア・インターンシップガイド2004年度版」には、企業や行政機関など111事業所と、環境保全やIT推進、芸術活動などを行うNPO法人や病院、保育所など64団体が紹介されている。
ジュニア・インターンシップ制度とは、高校生を対象としたもので、企業などで数日間の就業体験をし、自己の職業適性や将来設計について考える機会とするもの。
厚生労働省は同制度を2000年度から本格的に導入した。採用や就職活動と区別するため、1、2年生を対象とし、高校生を受け入れた事業所には、ハローワークより経費が支払われることもあるなど、地域社会全体で推進する体制を整えている。ただし、都道府県の教育委員会などで独自に就業体験をプログラム化しているところもあり、どれを採用するかはそれぞれの教育現場に任されている。
このたび作成された冊子は、長野労働局がジュニア・インターンシップ推進事業として長野県NPOセンターに昨年度委託したもの。それまでは、高校生を受け入れる企業などのリストは整備されていたが、この事業のより効果的な推進のために同センターが検討を重ねた結果、今回のガイドブック「ジュニア・インターンシップガイド~2004年度版長野県内~」が制作されたもの。
このガイドブックは、長野県を4つの地区に分け、地域別に事業所を紹介。高校生や教員が、地域での受け入れ先を探すときに便利な形式となっている。
情報量は175事業所にもおよび、民間企業だけでなく、町役場や県の地方事務所などの行政機関、会計事務所や建築事務所、病院や保育所、老人ホーム、さらには、障害者のIT支援や子育て支援、まちづくりや地域でのスポーツ活動に取り組むNPO法人などを紹介している。NPO法人は、37法人掲載された。厚生労働省によると、「ジュニア・インターンシップ制度でNPO法人に行く、というのはあまり聞かない。このようなガイドブックは非常に珍しい」とのことである。
事業所の情報も豊富で、資本金や設立年、従業員数などの基礎情報や会社概要に加え、「職場見学」、「ジュニア・インターンシップ」の受け入れが可能か否か、また、可能な場合は実施時期や受け入れ人数、研修内容などの情報が見やすくレイアウトされている。多くは写真いりで、担当者やときには代表者からのメッセージもそえられており、高校生にとって励みとなっているようだ。高校の進路指導担当者や公共職業安定所に配布されたところ、追加希望が殺到し、在庫がなくなるほどであるという。
ガイドブックを作成した長野県NPOセンターでは、「これほどのニーズがあるとは予想していなかった。このようなガイドブックが進路指導の現場で求められていたのだと思う。高校生には、就業体験をすることで、自分の適性や進路選択に明確なイメージをもってもらいたい。そうすると、大学に進むのか、専門学校の方がふさわしいのかそれとも就職をするのがいいのか、おのずと決まってくる。NPOも当然、このような体験の場になると考えた。」と話す。
受け入れ先の事情は毎年変わるため、同センターでは現在、質量ともに向上させるべく2005年度版を作成中だ。
長野労働局では、「就業体験の選択肢が広がることを歓迎している。NPO支援センターに委託したからこそ、出てきた発想だ。現在、高校の進路指導の先生などにオリエンテーションをしているところで、このガイドは非常に好評。」と語った。
高校生は、このガイドブックで体験先を選び、事前学習を経た後に、夏休みや春休みに就業体験。実習後にはレポートなどを提出する。