行政 : 鉄道局、NPOとの成功事例公開
6月2日、国土交通省(石原伸晃大臣)鉄道局は、全国の地方運輸局とともに、鉄道を元気にする取組を行う上で参考となる事例を収めた「ベストプラクティス集」を発表した。鉄道事業者によるアイデアに加えて、地元NPOとの連携による成功事例が紹介されている。
6月2日に国土交通省鉄道局が公開した「ベストプラクティス集」では、鉄道事業者によるアイデア、沿線地域の住民の参加やイベントとの連携等に関する事例を、イベントによる集客、運賃の工夫、地域による鉄道の振興などの分野別に紹介している。
その中の「地域による鉄道の振興」分野では、地元NPOとの連携によって「鉄道が元気になった」成功例が紹介されている。
たとえば、岐阜県樽見市の樽見鉄道株式会社については、NPO法人「樽見鉄道を守る会」による存続に向けての世論喚起及び経営支援が紹介された。存続署名活動では約5万2千名の署名を集め、沿線自治体の首長に存続を要望。また、募金活動により座席シート等の材料を購入し、張替えは、地元住民、高校生等のボランティアが実施した。
また、神奈川県横浜市の市営地下鉄については、高齢者や障害者の乗り換えなどを手助けする「駅ボランティア」事業が紹介されている。横浜市身体障害者連合会と横浜市視覚障害者福祉協会が協力して、車いすの方などの手助けするような場面に出会った時に、率先して行動できる駅ボランティアを養成し、誰もが快適に利用できる駅の実現を目指している。
地域住民の寄付で支えられている例としては、九州にある平成筑豊鉄道株式会社の「枕木オーナー制度」が紹介されている。旅客数、貨物量ともに減少し厳しい経営状況となっている中で、今後、増大すると思われる施設保守費用のうち、枕木更換について、その費用の一部を負担する、枕木の「オーナー」になってもらう制度を企画。
オーナーになった枕木には、オーナーの印であるプレートを設置。5000円でプレートが設置でき、「枕木オーナー」になれる手軽さなどが受け、沿線でも話題を呼び、「広告」として利用する者もいるなど、地域の核である「駅」を中心とした地域の活性化に役立っているとのこと。
国土交通省鉄道局の担当者は、「鉄道は、地域の人たちのためにあるもの。地域の人たちに支えられてこそ、いい事業が達成できる。地元の人たちにマイレールという意識を持ってもらうには、地域のNPOなどとの連携が有効。地域の人たちのアイディアを盛り込むことで鉄道の活性化が実現した例もある。このベストプラクティス集が、鉄道の活性化に取り組む関係者のヒントとなれば嬉しい。ベストプラクティス集を見て、この取り組みの中身をもっと具体的に教えてほしいなどの質問があれば、気軽に担当各地方運輸局に問い合わせて欲しい。」と語った。
ベストプラクティス集は、鉄道局サイト内の下記から閲覧できる。
http://www.mlit.go.jp/tetudo/