行政 : 「NPO」商標異議申立から一年
シーズを含む6つのNP0団体は、(株)角川ホールディングス(旧角川書店)が雑誌・新聞の分野で「NPO」という語を商標登録した件で、昨年7月25日付で特許庁に対して異議申立をおこなった。その後、特許庁から審理に関する連絡がないまま丸一年が経過している。7月25日付で異議申立をおこなった6団体は、NPO関係者に対して経過報告の文書を発表した。
2002年1月18日に、(株)角川書店(現(株)角川ホールディングス、以下「角川」)は、雑誌・新聞についての商標として「NPO」を出願した。その後、特許庁が審査をした結果、2003年4月25日に登録され、5月27日には商標掲載公報に掲載され、商標権が正式に角川に発生している。
これに対し、「NPO」という語を題号にした雑誌や新聞を発行すると商標権侵害に当たる可能性が出てきたとして、NPO関係者が反発。新聞などマスコミでも「角川NPO商標登録問題」として大きく報道された。
商標法では、商標登録から2ヶ月以内なら、誰もが特許庁に対して異議が申し立てられるとされている。そこで、「NPO」商標登録について、大阪NPOセンター、大阪ボランティア協会、関西国際交流団体協議会、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会、市民活動情報センター、日本NPOセンターの6団体は、2003年7月25日付で異議申立をおこなった。
異議申立を支援している弁理士等の意見では「1年以内に結果が出るのでは」ということだったが、特許庁から審理に関する連絡がないままに、丸一年が経過した。
一年が経過したことから、シーズを含む6つのNP0団体は、7月25日付で、NPO関係者に下記の経過報告の文書を発表した。
「NPO」の商標登録に対する異議申立に関する経過報告
2004年7月25日
特定非営利活動法人日本NPOセンター 常務理事 山岡義典
特定非営利活動法人大阪NPOセンター 事務局長 山田裕子
社会福祉法人大阪ボランティア協会 事務局長 早瀬 昇
特定非営利活動法人関西国際交流団体協議会 事務局長 有田典代
特定非営利活動法人市民活動情報センター 代表理事 今瀬政司
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 事務局長 松原 明
(異議申立書の当事者表示順)
上記代理人 弁護士 三木秀夫
「NPO」「ボランティア」を新雑誌の名称として、角川書店(現角川ホールディングス)が商標登録した問題で、皆様のご賛同とご支援のもとに、昨年7月25日に、特許庁に対して異議申立を提出いたしましたが、それからほぼ1年が経過いたしました。
その後の経過について、下記の通りご報告いたします。
記
(経過概要)
2003年6月3日
本件問題についての情報発信
2003年6月5日
マスコミ等の報道
2003年7月25日
商標登録異議申立書の提出(特許庁へ)
2003年8月25日
証拠を添付し、補正書並びに口頭審理(公開審査)を求める上申書提出
(その後)
これ以降は、何ら特許庁から審理に関する連絡はなく、時折、担当審査官または事務局担当者の異動についての形式的連絡があったのみで、実質的な動きは全くありません。特許庁ホームページ(電子図書館)で見るかぎりにおいても、いまのところ具体的な進展が見受けられません。
なお、今回手続きを取っているのは「異議申立」であり、「無効審判」とは異なって、あくまでも公益的見地から特許庁が自らの処分を見直す制度であり、異議申立人は当事者でなく、異議申立の審理を開始させたにすぎません。このため、異議申立人には、異議申立の最終結果は通知されますが、審理は、もっぱら特許庁と権利者の間で進められます。無効審判については、当事者が書面で審理状況を問い合わせる制度がありますが、異議申立では、そのような制度もありません。
ただ、1年が経過するのに伴い、近日中に何らかの動きがあるやも知れず、引き続き動きを注視して参りたいと考えていますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
(追記)
「ボランティア」についても、上記と全く同じ経過です。
以上