行政 : 国交省、流域連携でNPOの事例集
国土交通省の「経済的な側面から見た流域連携の促進に関する研究会」(座長 井上繁常磐大学コミュニティ振興学部教授)は、7月2日、NPOが参画する先進的な流域連携の取組みの事例集をホームページ上で発表した。
「経済的な側面から見た流域の促進に関する研究会」は、過疎化や高齢化の進行、林業の不振などにより停滞している水源のある地域の活性化に、NPOが大きな役割を果たしはじめていることに注目、このような活動を支援するため、昨年の10月に設置されたもの。
学識経験者4名で構成され、具体的な制度面やNPO活動の維持・拡充に不可欠な経済的側面について検討している。
このほど発表された事例集では、水源地域と都市部など下流受益地域との経済的な関係を強化し、流域連携を進める6つのNPO等の取組みを紹介している。
紹介されているのは、荒川流域で環境教育に注力しながらも、流域材や流域産品の有効な利用法、販売方法などの研究を進めるNPO法人荒川流域ネットワーク(埼玉県)や、豊川流域で地産地消を進めるため森林認証制度を創設したNPO法人穂の国森づくりの会(愛知県)、上流と下流住民との交流を促進し、交流人口を増やすことで地域の活性化につなげていく活動をしている斐伊川流域のNPO法人斐伊川くらぶ(島根県)など。
国土交通省土地・水資源局では、「総合的な取組みが必要な水源地域活性化には、企業や行政などの個々の取組みには限界があり、小回りのきくNPOに期待している。このような好循環を生み出しているNPOを紹介することで、同じような取組みをするNPOの参考としてもらいたい」と説明している。
同時に、このたびの調査からは、NPOの活動基盤は脆弱で、まだ行政からの支援が必要な状況であることなどが明らかになってきている。しかし、「関係主体相互の切磋琢磨を通じて、自律性と自立を強めることも必要」(国土交通省)で、行政はもとより、企業や住民との関係構築を進めることでNPOが流域連携を促進する担い手となっていくことが求められているという。
同研究会では引き続き、参考となるようなNPOの事例を紹介していく予定。同時に、流域の経済活性化に取組むNPOの今後の課題などを掘り下げて検討していく方針。
このたびの事例集は以下のURLから見ることができる。
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/mizusato/040702/npo/kenkyu.html