行政 : 広島市、補助金改革で公募制導入
補助金制度の見直し作業を進めていた広島市(秋葉忠利市長)は、補助金制度に公募制を導入することを決めた。7月30日まで、法人格の有無を問わず、広く市内の団体から補助事業の提案を募集している。見直しの対象となる補助金額は約30億円にのぼる。
広島市では、昨年の10月に外部の有識者で構成する「広島市補助金制度検討委員会」(座長・中村良平岡山大学教授)を設置し、厳しい財政状況下における、今後の補助金制度のあり方やその具体的仕組みづくりについて検討を進めていた。
同委員会は3月に最終報告をまとめ、補助金の交付基準の見直しや3年の終期の設定、目標や対象が類似した助成は積極的に統合させることなどを提言した。
また、具体的な仕組みとしては、情報公開を徹底すること、採択・評価を適切に行うための第三者機関の設置、市民からの提案を受付けたり、行政から課題を提示するタイプの公募制を導入することが必要であるとした。
広島市は、この報告に基づき、補助金に公募制を導入することなどを盛り込んだ、市の方針を決定、7月1日から提案を募集している。
これには、活動拠点が広島市内にある団体で、政治活動、宗教活動および営利を目的としていない団体なら応募が可能。法人格の有無は問わない。
提案の対象となる事業には特に分野の制限はなく、市民福祉の向上につながり、公益上の必要性が認められるもので、具体的な目標をもって取り組めるものとされている。ただし、500万円以上の事業提案をする場合には「費用対効果額」の算定が義務づけられている。補助率は原則として事業費の2分の1以下。これを超える場合は理由が必要となる。
採択にあたっては、財政課や担当部局、庁内公募による職員など20名程度で構成するプロジェクトチームが、提案事業の妥当性や緊急性、先進性、実施方法の効率性などを統一的な観点から評価し、11月下旬ごろに決定理由も含めて一般に公表する。
市では、この評価結果をもとに来年度予算編成を行う。
見直しの対象となる事業は、広島交響楽協会事業の約1億円を筆頭に、フラワーフェスティバル等観光行事開催事業や、医師会等保健衛生活動事業など。たとえ既存の補助金交付団体であっても、補助を希望する場合は事業提案書を作成しなければならなくなる。
また、個別の要綱などで制度化されている補助金でも、制度的に補助を行うことの妥当性を評価するため、事業所管課が補助事業の概要調書を作成する。
これら見直しの対象となる補助金の合計額は、約30億円。
見直しは、既存の補助金すべてについて行うが、いっせいに見直すと終期(3年)との関係から特定の事業年度に事務が偏ることなどを考慮し、今回は経過年数の長い事業を中心に見直しの対象としている。
秋葉広島市長は12日の記者会見で、「この取り組みは、市民のまちづくりへの参加意欲を高め、市民活動がより活発に展開されるような仕組みづくりの一環ですので、市民の皆さんからの積極的なご提案をお待ちしています」と述べ、多くの応募を呼びかけている。
補助金の見直しの経緯については、以下のURLを参照のこと。
http://www.city.hiroshima.jp/zaisei/zaisei/hojokin/hojokinnminaoshi-top.htm
補助事業の提案募集要領は以下のURLから見ることができる。
http://www.city.hiroshima.jp/zaisei/zaisei/hojokin/hojokin-koubo.htm