行政 : 山口県、暴力団統制理由で認証取消へ
山口県は3日までに、暴力団の統制下にあるとして、NPO法人「環境福祉ながと支援協会」(長門市)の認証取消し手続きを開始することを決めた。山口県警からの意見を受けたもので、全国では7件目の取消しとなる見込み。警察当局からの意見を受けた認証取消しは全国初となる。
山口県は、3月に市民からの情報を受け、山口県警に「環境福祉ながと支援協会」と、暴力団との関係を照会していた。
警察当局への照会は、2003年5月のNPO法改正により可能となったもので、同県は、この制度を利用して山口県警に同協会について問い合わせをしたもの。
この改正は、もともとNPO法に盛り込まれていた暴力団排除の規定の実効性を確保するため新設されたもので、警察当局は、照会を受けたNPO法人について、暴力団等である、 あるいはその役員が暴力団の構成員等であると疑うに足りる相当な理由があるため、 所轄庁が適当な措置を採ることが必要であると認めるときは、 所轄庁に対して意見を述べることができるようになっている。
8月2日、県警から、同協会は「暴力団の統制下にある団体」との回答があり、これを受け同県は、取消しに向けた手続きを開始することを決めた。
同協会は2001年6月に、高齢者介護やリサイクル、家庭内暴力などの生活相談を実施するとして、山口県からNPO法人の認証を受けていたが、度重なる同県からの督促にもかかわらず、2004年4月まで、事業報告書などを提出していなかった。活動の実態があったかどうかは分からない。
同協会の理事長は、恐喝容疑などで6月に逮捕、8月3日には起訴されている。
認証取消しの手続きは、改善命令を経る場合と、命令を経ない場合の2通りがNPO法上認められている。今回のケースでは、どちらの手続きを選択するかはまだ決まっていないという。
改善命令を経ない場合でも、取消しを行う前には、必ず聴聞を実施しなければならないことになっており、当該法人から請求があった場合は、この審理は公開されることになっている。
NPO法人の認証取消しは、2月に内閣府が初めて行い、全国でこれまでに6法人が取り消されている。改正NPO法により設けられた警察当局への意見聴取を受けた認証取消しは、全国で初めてのケースとなる。