行政 : 特区で、5人以上でNPO法人の設立可能へ
政府は、現行のNPO法で10人以上の「社員」を有することを義務付けている認証要件を、構造改革特区に限っては、5人以上であれば認証されるように緩和する方針を固めた。政府は9月にも正式決定し、2005年の通常国会で構造改革特別区域法を改正して、この特例を盛り込む予定。
平成15年4月に施行された構造改革特別区域法は、政府が進める構造改革・規制緩和の一環として、全国一律の規制について、「特区」と認定した特定の地域において撤廃、または緩和を認めるもの。
特区に関する提案は、内閣官房構造改革特区推進室に対し、地方公共団体(都・区等)、企業、NPO、個人等の誰でもが提出できる。
今年6月に構造改革特区推進室が行った第5次提案募集に対して、NPO法人の設立認証要件の緩和を提案したのは、岐阜県大垣市。現行のNPO法では10人以上の「社員」を有することを義務付けている認証要件を、構造改革特区においては5人以上であれば認証されるように緩和することを提案した。緩和の目的は、特定非営利活動を行う団体がNPO法人格を取得しやすくすること。
内閣官房の構造改革特区推進室は、関係省庁である内閣府にこの提案について検討を依頼。
8月11日に内閣官房構造改革特区推進室が公表した「構造改革特区の第5次提案についての再検討要請に関する各省庁の回答」によれば、内閣府は、いったんは緩和は不適当と回答したが、推進室の再検討の要請に対して、特区での要件緩和を認めるとした。
政府は9月に正式決定し、認証事務を担う都道府県などと調整した後、2005年の通常国会に、この緩和を盛り込んだ構造改革特別区域法の改正案を提出し、2005年度中に特区の申請受付をスタートさせる予定。
特区の認定を受けるための申請を行うことができるのは、地方公共団体だけ。構造改革特別区域法でこの認証要件の緩和が認められた後、所轄庁である都道府県のなかで、「5人以上で設立可」と希望するところは「特区」としての申請を行い、特区と認められれば、その都道府県内では「社員5人のNPO法人」が設立することが可能になる。
一方、内閣府によれば、事務所が二つ以上の都道府県にある団体(内閣府所轄)の取扱いについては、この特区構想が実現した場合、事務所所在地の全てが特区にある場合の認証要件をどうするかなどを検討中とのこと。また、すでに認証を受けた法人に対しては、この特区において、事業報告をする際にも「社員5人以上」の記載でよいことを認めるのか、あるいは認証時だけの要件に限定するのかなども検討していくとのことである。
シーズの松原明事務局長は、
「1994年に、私たちが、シーズの前身である市民活動推進法研究会で、NPO法案の要綱をつくった時に、NPO法は財産要件をなくするわけだからせめて2桁の社員があるくらいのことで信用保証をしていく必要があるのではないか、ということで、10人の社員という要件を提案した。その後、NPO法が議員立法されるとき、その提案が採り入れられて今の要件となっている。
しかし、今は、株式会社でも1円でできる時代となった。公益法人制度改革でも、新しい非営利法人は社員2人から設立できるようにしようという議論になっている。法人というのは、今日、市民が営利・非営利の活動をする際に、不可欠の制度となりつつあり、それが簡易に作れるようになっていくのは、時代の必然であると思う。今回は、特区だけでの緩和だが、いずれ、全国的に5人、もしくはもっと少ない数でNPO法人が設立できるようになっていくのではないか。」
と語っている。
「構造改革特区の第5次提案についての再検討要請に関する各省庁の回答」は、構造改革特別区域推進本部のホームページ、下記を参照のこと。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/040811/040811kaitou.html