行政 : 公益性認定は8条機関が有力
公益法人制度改革を検討している政府の「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長・福原義春資生堂名誉会長)の第19回会合が、9月15日に開催された。この会合で示された事務局案は、公益性の判断主体を国家行政組織法8条に基づく「審議機関」(いわゆる「8条機関」)とするもの。委員の支持を集めていた独立性の高い行政委員会方式は、行政の肥大化をさけるという理由から、退けられた。
「公益法人制度改革に関する有識者会議」は、公益法人制度改革において法人制度の部分を検討するために設けられた金子行革担当大臣の私的諮問機関。
有識者会議は夏休みをはさんで約1ヶ月半ぶりに再開された。今回の討議内容は、7月に示された「青写真」でも十分に議論できなかった「公益性の判断主体のあり方」や「適正運営の確保のあり方」などについて。
新しく創設される非営利法人制度は、公益性の有無を問わず登記(準則)で設立できるようになる一方で、そのうち「公益性」があると認定された法人には何らかの優遇措置が与えられるようになる方針が固まっており、その「公益性」を誰が判断するのか注目されていた。
この会合では、内閣官房行政改革推進事務局が作成した資料を基に議論された。
事務局案では、公益性の判断主体は、一般的に特定の大臣の下に設置され、補佐的な業務(答申、意見等)を行うとされる、いわゆる国家行政組織法第8条に基づく「審議機関」の方針が強く打ち出されたものとなっていた。
公正取引委員会のような意思決定権限を有する独立性の高い「行政委員会」方式は、「行政組織の膨張抑制の要請を踏まえ」(行革事務局)という理由で、見送られることとなりそうだ。
事務局案では、「現行の審議機関には様々な機能を担うものが存在しており、こうした機能を適切に組み合わせることにより、行政委員会と機能的に遜色のない判断主体とすることが可能」としたうえで、「現在の主務官庁から中立的に判断を行いうる特定の大臣の下に、民間有識者からなる審議機関を設け、その審議機関による公益性の判断に係る意見に基づき、当該大臣が行うこととし、事後チェックや不服審査の機能については、審議機関と大臣が適切に分担して行うことが適当ではないか」としている。
審議機関が設置される省庁は、「中立的な判断」が可能な、総務省と内閣府が現在候補に上がっている模様。
この審議機関は、民間の有識者で構成するよう、委員らから強い要望がでているが、「民間有識者からなる審議機関が、各分野に応じた専門性を備えることが可能かといった指摘や、各分野の公益性については、所管省庁が有益な情報を有しているのではないかといった指摘があることに留意が必要」という一文が盛り込まれ、何らかのかたちで主務官庁が今後も関与していく可能性も否定できない。
このほか、公益性を失った法人の財産の取扱いについてや、国民一般による代表訴訟類似の制度の導入の是非などについて議論された。
次回の会合は9月29日。財団形態の法人固有の規律について議論するほか、あるべき税制度についても議論していく予定。有識者会議は、11月上旬に最終報告をまとめることを目標に、今後かなり頻繁に開催するとなっている。
有識者会議の意見を受けて、別途、年内には政府案が発表される予定だ。
第19回会合の資料は以下のURLから見ることができる。
http://www.gyoukaku.go.jp/jimukyoku/koueki-bappon/yushiki/