行政 : 特区提案で、洗濯ヘルパー解禁へ
政府は、構造改革特区第5次提案募集に対して、徳島県上勝町から提案された「過疎地で行う有償洗濯の可能化」をうけ、高齢者の洗濯物を預かって家庭用洗濯機やコインランドリーで洗う有償ボランティア事業の解禁に向け、今年度中にクリーニング業法の規制を全国的に緩和する方針を決めた。
人口2203人、高齢者だけの世帯が200を超える徳島県上勝町にはクリーニング店が一軒もなく、町役場の隣に大型コインランドリーが設置されているのみ。雨天が続いたり、寝具などの大きなものの洗濯に活用されているが、高齢者からは「重い洗濯物を自分でコインランドリーまで運ぶのはつらい」などの苦情が寄せられていた。
こうした苦情をうけて、同町では高齢者世帯の生活支援策として実費で洗濯を代行する洗濯ヘルパーの派遣事業が企画された。
しかし、「洗濯ヘルパー」を始めようとしたところ、この事業はクリーニング業にあたるとして、徳島県からストップがかかった。クリーニング業法では、不特定多数の洗濯物を扱うことによって伝染病がまん延しないよう、特定の設備と都道府県への届け出をクリーニング業者に義務づけている。
このため同町は、今年6月に募集された構造改革特区第5次提案に「洗濯ヘルパー」の規制緩和を提案。内閣官房の構造改革特区推進室は、関係省庁である厚生労働省に検討を依頼していた。
8月11日に内閣官房構造改革特区推進室が公表した「構造改革特区の第5次提案についての再検討要請に関する各省庁の回答」によれば、厚生労働省は、公衆衛生上問題があるとして、上勝町の提案をいったん拒否。しかし、内閣官房からの再検討の要請に対して、「高齢化の進んだ過疎地において、NPOまたは社会福祉法人が有償ボランティアによる洗濯サービスを行う場合、クリーニング業法第2条第2項に規定する『営業者』の規定を適用しない。」ことを特例事項として認めることを決めた。
特区の提案に対する措置には、特区として、あるいは全国的に対応、などの区分があるが、この提案に対しては「平成16年度中に全国的に対応」という措置がとられる。また、措置の内容としては「訓令又は通達の手当てを必要とするもの」とされ、今年度中に全国的な解禁に向けて、厚生労働省からの通達が出される予定。
厚生労働省では、今後、対象を過疎地に限定するか、有償ボランティアの対価をどの程度にすることでクリーニング店との競合を避けるかなど、具体的なことを検討する。
上勝町役場の担当者は、「過疎の町の高齢者支援策として、洗濯ヘルパーが必要とされていた。特区の認定をしてもらうことで洗濯ヘルパー事業を始めたいと考え、特区の提案をした。その結果、全国的な規制緩和の必要性が認められ、今年度中に解禁されることになり喜んでいる。」と語った。
「構造改革特区の第5次提案についての再検討要請に関する各省庁の回答」は、構造改革特別区域推進本部のホームページ、下記を参照のこと。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/040811/040811kaitou.html
徳島県上勝町のホームページは下記。
http://www.kamikatsu.jp/