行政 : 新たな特区でNPO活動拡大へ
9月10日、政府は地域限定で規制を緩和する構造改革特区で、新たに12件の規制特例措置を決めた。NPOに関連するものとしては、NPO法人設立のための社員数要件の引き下げ、地域通貨の登録要件の緩和が含まれた。あわせて、特区への提案のうち、特区として区域を限定するのではなく、全国規模で実施する規制緩和も35件決定。NPOが過疎地で行う洗濯ヘルパー事業が可能になる。また、NPOが企画するツアーに関する旅行業法の適用範囲の明確化が盛り込まれた。
政府は、6月1日から30日までの間を「特区、地域再生、規制改革・民間開放集中受付月間」と位置づけ、新たな特区における規制の特例措置の提案、地域再生における支援措置の提案、及び全国で実施すべき規制改革・民間開放要望を同時に受け付けた。
その結果、内閣官房構造改革特別区域推進本部によると、特区に係る提案と地域再生における支援措置の提案について、あわせて652件の提案が寄せられたという。
構造改革特別区域推進本部は、寄せられた提案について関係省庁と検討を重ね、9月10日、12件の特区での規制特例措置と35件の全国規模の規制緩和について「構造改革特区の第5次提案に対する政府の対応方針」として発表した。
新たに特区において講じられる規制の特例措置のなかでは、金融庁がNPOが発行する地域通貨の登録要件を緩和。これまで地域通貨を発行するには、最低資本金として1000万円の登録を義務付けていたが、地方公共団体が財務の健全性を適正と認めれば、NPOなどが発行するものはこの規制を撤廃する。
また、内閣府は、特区においてNPO法人の認証要件のひとつである社員数を10人から5人に引き下げる特例を創設する。
特区での特例措置については、関係省庁が法令を改正した上で、早ければ来年1月から地方自治体の認定申請を受け付ける。
全国規模で規制緩和が実施されるものの中では、過疎地における「洗濯ヘルパー」の容認が決まった。厚生労働省は、ボランティアによる有償洗濯事業についてはクリーニング業法にいう「営業」に該当しない旨の通知を、平成16年度中に各都道府県に発出する。
また、国土交通省は、NPO法人などが企画するツアーに関する旅行業法の適用範囲について、具体的解釈事例を盛り込んだ施行要領などを、平成16年度中にホームページで公開する。
9月10日に発表された「構造改革特区の第5次提案に対する政府の対応方針」は、構造改革特別区域推進本部ホームページ内、下記を参照のこと。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/