行政 : 公益法人改革、最終報告の議論開始
公益法人制度改革に関して議論をしている政府の有識者会議に、25日、事務局が最終報告書の原案を提示。11月中旬のとりまとめに向けて議論をスタートさせた。原案は非公開で議論が進む見通しで、一般への公表は11月になってからと推定される。注目を集めていた「公益性」の判断機関は、特定大臣下の審議機関(いわゆる8条機関)となり、中間法人の統合も盛り込まれた模様。
村上誠一郎行革担当大臣の私的諮問機関である「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長・福原義春資生堂名誉会長)は、昨年11月に内閣官房行政改革推進事務局に設置。今年の「秋頃に基本的枠組みの具体化に係る報告」をするスケジュールで検討が進められていた。
当初は10月下旬にも新制度の枠組みが発表になると目されていたが、検討スケジュールが遅れ、最終報告は11月中旬になる見通し。
22回目の会合となる25日、事務局から最終報告書の原案が委員に示され、とりまとめに向けた議論がようやくスタートしたかたちだ。
通常、会合で議論に付された資料は2~3日で政府のホームページに掲載されてきた。しかし、原案は、行革事務局によると「まだメモのような段階」という理由で、「委員限り」の扱いとされ、公表はされなかった。今後も、公開されないで検討が進められると見られる。
25日、行革事務局によって提示された原案には、新制度に中間法人が統合されることや、公益性の判断は、特定の大臣の下におかれる国家行政組織法8条に基づく審議機関が行うことが盛り込まれた模様。
主務官庁が、不透明な基準で監督権限を縦割りに行使してきた現行制度は廃止するとしている。
しかし、8条機関となると、民間有識者等で構成される審議機関に一定の権限が与えられることになるものの、特定省庁の一機関という位置づけに過ぎず、最終決定権は大臣がもつことになる。今まで有識者会議でだされていた意見にあった「行政からの中立性・独立性の確保」という意味では後退となる。
また、公益性の判断基準次第では、広範な裁量を行政がもつことになり、運用が恣意的にならないか懸念される。
昨年6月の閣議決定で、「法制上の関係を整理する」とされていたNPO法人と新制度との関係については、25日に示された原案では、明確に言及されておらず、委員から「NPO法人制度との関係を明記すべき」との意見がでたとのこと。報告書に、新制度とNPO法人の関係がどう記載されるか注目される。
有識者会議の次回会合は29日で、11月は予備日を含め3回の会合が予定されている。
最終報告書は11月中旬にとりまとめられる公算が大きい。その後、年内に政府案が作成される予定となっているが、税制の議論が遅れており、政府案に税制まで盛り込まれるかどうか今のところ不透明な情勢だ。
報告書や政府案公表の時点で一般からの意見募集がなされるかどうかについては、行革事務局は否定的な見解を示している。