行政 : 専門家ネット、消費税で注意呼びかけ
NPO法人NPO会計税務専門家ネットワークは、消費税の免税事業者であるNPO法人が、委託事業の契約書の委託金額に「消費税込み」と記載されていたために消費税課税事業者の届出をしてしまい、課税されるケースがあるとして、NPO法人に向けて注意を呼びかけている。
今年4月1日より消費税が改正され、これまで3千万円だった課税売上高の免税点が1千万円に引き下げられ、商品などには総額表示が義務付けられた。NPO法人にも、改正が適用される。この改正によって、 基準期間における課税売上高が1000万円を超える場合には、「消費税課税事業者届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなくてはならない。基準期間は、前々事業年度なので注意が必要だ。
また、課税売上5千万円以下で簡易課税を選択する場合は課税事業年度が終了するまでに選択届を提出しないと適用が受けられない(新しく課税事業者になる場合に限っての今年だけの経過措置、本来は課税事業年度開始の前日までに届け出)。
NPO法人の場合、収入のうち対価性のない会費・寄付金・補助金等の収入は、原則として課税対象とならない。しかし、事業成果を要求される委託事業等は課税対象となる。一方、同じ委託事業でも福祉関係では非課税になるものも多い。このことを踏まえて、課税事業者となるのか、免税事業者となるのか、課税事業者であれば簡易課税の選択が有利かどうか、判断する必要が出てくる。
今年の春、西東京市のNPO法人が一昨年の市からの委託事業について、契約書の委託金額に「消費税込み」と記載されていたため課税事業者の届け出をしてしまった。内容が福祉事業であることから疑問に思ったNPO会計税務専門家ネットワーク会員の税理士が、8月に東村山税務署と交渉したところ、契約内容は非課税事業で結果的に免税業者であることが判明し届出が取り下げられた。
この事案を受けて、NPO会計税務専門家ネットワークでは、NPO法人が消費税の課税業者か免税業者かの判断について注意を呼びかけている。
NPO会計税務専門家ネットワーク理事長の赤塚和俊氏は、
「自治体の職員は消費税の知識は全くないと思った方が良い。そのため、今回のように何も考えずに一般の契約書モデル通りに『消費税込み』と記載した契約書を作成することは、他の自治体でも十分に可能性がある。一方、税理士やNPO法人の当事者は、まさか契約書の記載が間違っているとは思わないのが普通。税務署も書類を受け付けるだけでそこまでの点検はしない。これに限らず、消費税に関してはNPO法人固有のわかりにくい問題がたくさんあるので、NPO会計税務専門家ネットワークでは何らかの対策を講じることを検討中である。詳細が決まりしだい告知する。」
と注意を呼びかけている。