行政 : 小規模作業所も随意契約可能に
11月10日に改正地方自治法施行令が施行され、地方自治体は、障害福祉の増進や中小企業の育成といった一定の政策目的に合致する場合、福祉団体やベンチャー企業と随意契約を結ぶことができるようになった。これにより、NPO法人などが運営する小規模作業所で製作された物品も随意契約の対象となる。
随意契約とは、地方自治体が競争の方法によらず、任意に特定の相手方を選定して契約を締結する方法。一般競争入札を原則とする契約方法の特例方式である。
随意契約は、競争入札の手間を省き、特定の資産、信用、能力等のある相手方を任意に選定できるため、行政事務の効率化に寄与するという長所を持っている。
一方、地方自治体と特定の業者の間に特殊な関係が発生する等、適正な価格による契約締結が確保できなくなる危険性もあり、その運用に際しては、地方自治法や各地方自治体の条例等に則った執行が必要とされ、随意契約できる対象範囲などが限定されている。
今回の随意契約の対象範囲の見直しは、岐阜県が今年6月に「政策的随意契約制度」として第5次構造改革特区募集で提案したことがきっかけとなった。
岐阜県は、一般競争入札が原則という枠組みは維持しつつ、「身体障害者福祉・高齢者福祉の担い手の育成」「身体障害者及び高齢者の雇用確保」「新産業・中小企業の育成」といった政策目的を達成するため、これらに取り組む事業所などとの物品購入や役務の提供について随意契約を結べるよう、政府に求めた。
特区の提案に対する措置には、「特区として対応」あるいは「全国的に対応」などと対応に区別があるが、この提案に対しては「平成16年度中に全国的に対応」という措置がとられ、地方自治法施行令を一部改正が決定された。
この改正によって、関連法で規定されている身体・知的障害者の更生・授産施設、精神障害者の授産施設・福祉工場、小規模作業所、シルバー人材センター、同センター連合、母子福祉団体が随意契約を結べるようになった。
これには、NPO法人や親の会が障害者の地域における作業活動の場として運営する小規模作業所(障害者基本法で規定)も含まれている。
加えてベンチャー企業も「新産業・中小企業の育成」のために対象となった。ただし、ベンチャー企業が随意契約を結ぶためには、知事・市町村長からベンチャー企業の認定を受ける必要がある。
この改正地方自治法施行令は、11月10日より施行された。