行政 : 総務省、無認可共済実態調査
10月26日、総務省は、監督官庁や法規制のない無認可共済についての実態調査の結果を発表した。調査結果では、募集方法、情報開示の面で問題のある無認可共済が少なくないことが明らかになった。総務省では、10月27日、これらの結果を、無認可共済の法規制を検討している金融審議会に報告した。
共済とは、一定の地域または職域でつながる者が団体を構成し、将来発生するおそれのある災害や不幸に対して共同の基金を形成し、これら災害や不幸の発生に際して一定の給付を行なう制度。
共済には根拠法を有する共済と根拠法のない共済がある。
根拠法を有する共済の代表的な例は、農業協同組合(JA:農業協同組合法)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済:消費生活協同組合法)。これらは、「他の法律に特別の規定のあるもの(保険業法第2条第1項)」に該当することから、保険業法の規制は受けないが、これに代わる法律による規制を受け、各々の主務官庁の監督を受けて事業を行なっている。
これに対し、根拠法のない共済は、見舞金程度の支給に止まる場合や、特定の者を対象としている場合には保険業に該当せず、免許を受けずに事業を行なっても保険業法違反にならないと解されている。保険業法やその他の法律による規制の対象とならず、特別の法律による監督も受けない。
ただし、根拠法のない共済が、地域や職域を定めず、不特定の者を対象に共済事業を行なっている場合には、保険業法違反となり、共済事業を行なった者に対して刑罰が科される可能性がある。
昨今、監督官庁や法律がない無認可共済については、販売方法や共済金支払いなどをめぐり、消費者センターなどに寄せられる苦情や相談が増加して消費者保護の立場から問題になっており、首相の諮問機関である金融審議会の「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」では法規制に向けた検討が行われている。
こうした状況をふまえて、総務省は今年4月から10月にかけて、「根拠法のない共済に関する調査」を実施。根拠法のない「共済」を実施している任意団体等(企業内共済を除く共済実施企業を含む)、企業内等(大学内を含む)共済実施団体、行政機関の関与のある公益法人等の684団体(商工会議所などを含む)を抽出し、370団体から回答を得た。
総務省は、10月26日に調査結果を取りまとめ、最終報告として発表した。
報告書によれば根拠法のない共済の加入者数は2188万人。掛け金の総額は1318億円。種類としては企業・大学内共済と公益法人等による共済では生命・身体、家財に関するものが9割を超えた。
他方、任意団体等の共済では、生命・身体に関するものが4割を占めるが、ペット、葬儀など多種多様。
また、任意団体等の実施する共済の3割弱が、加入要件が入会金のみであったりと、実質上無いに等しく保険業法に抵触している可能性があることが明らかになった。さらに、任意団体等の実施する共済の8%が新会員を勧誘した会員に手数料を払っており、マルチ商法の可能性があることも判明した。
会員に対する財務情報の開示をしていないのは、任意団体等の共済で30%、企業内共済で17%、公益法人の共済で6%。将来の共済金の支払いに備える「責任準備金」がないのは、それぞれ40%、66%、40%だった。
ただし、「責任準備金」がないものの中には、再共済契約や団体保険に上乗せしていることでリスク回避を図っているものも含まれている。
総務省では、これらの結果を10月27日、金融審議会に報告した。
「根拠法のない共済に関する調査の結果」の全文は、総務省サイト内、下記に掲載されている。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041027_1.html