行政 : NPO連絡会、税制改正要望の詳細決定
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、10月28日、平成17年度税制改正に向けた「認定NPO法人制度改正に関する要望項目」を決定した。連絡会では、すでに「認定NPO法人制度改正に向けた要望書」を決定しているが、これは、その要望事項をさらに詳細に述べたもの。「要望書」とともに、各政党や政府に提出していく。
シーズが加盟しているNPO支援団体の全国的ネットワーク「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」(41団体加盟、以下「連絡会」)は、平成17年度(2005年度)の税制改正において、認定NPO法人制度の改正を求めるため、現在、全国キャンペーンと要望書への署名集めの活動を展開している。
この「要望書」に関して、詳細な要望事項をまとめた「平成17年度認定NPO法人制度改正に関する要望項目」が、10月28日決定された。
この要望項目にそって、連絡会では、認定要件の改正などを、各政党や政府に働きかけていく考えだ。
また、現在、集めている署名を添えて、11月17日には各政党にそれを手渡す東京集会も計画している。
要望書への署名活動は、11月10日を締め切りとして、現在、全国の対象団体の代表者に呼びかけを行っている。まだ署名いただいていない場合は、ぜひご協力お願いしたい。
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要望書および署名活動については
https://www.npoweb.jp/200410.html -
全国キャンペーンについては
https://www.npoweb.jp/200411.html -
東京集会については
https://www.npoweb.jp/event_info.php3?article_id=1827
のホームページをそれぞれ参照のこと。
10月28日決定された「平成17年度認定NPO法人制度改正に関する要望項目」は以下の通り。
平成17年度認定NPO法人制度改正に関する要望項目
2004年10月28日
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会
はじめに-
1998年にNPO法が施行されてから約6年が経過しようとし、NPO法人の数は1万8千を超えるまでとなっている。NPOの話題が新聞に載らない日はなく、社会がNPOへ寄せる関心も高い。NPOも、社会問題に対してこれまでに無かった新しい取り組み方法を提示し、地域において重要な役割を担うようになってきている。
一方で、NPOが抱える最も大きな課題は財政的基盤が脆弱だという点にあり、このような大きな期待に十分に応えられない現状があるのも事実である。
NPO法人を財政的に支援するため、認定NPO法人制度が2001年10月1日から施行された。さらに、2003年4月から、認定要件が一定程度緩和され、みなし寄附金制度も導入されたが、認定NPO法人の数は、まだ全国で25法人でしかない。
日本において今後、NPOが発展し、そのことで豊かな社会を築くためには、さらなる要件の緩和など制度の改善は急務である。平成17年度の税制改正において、ぜひとも抜本的な緩和を実現していただきたく、以下の改正を要望する。
1.認定要件の緩和を
(1)パブリック・サポート・テストの計算式の改正
- 社員からの会費に関しては、総会での議決権は会費の反対給付とはみなさないこととし、対価性のない社員からの会費部分は寄附金として、パブリック・サポート・テストの分子に算入できるようにする。
- 特定非営利活動からの事業収入については、パブリック・サポート・テストの分母から除外できるようにする。
- 国・地方公共団体、国際機関、公益法人等、特殊法人または独立行政法人からの補助金・助成金・委託事業費については、パブリック・サポート・テストの分母・分子の両方に全額算入できるようにする。
- パブリック・サポート・テストの計算において、寄附者の親族からの寄附に関して、とりまとめて「一者からの寄附」として計算する要件を、一定数以上の寄附者がいる場合には、適用しないこととする。
(2)単年度主義の撤廃
- 認定の要件を、単年度ごとでチェックする方法を、2事業年度の合計でチェックする方法に変更する。また、再認定(更新制度が導入された場合は更新の認定)の場合は、4事業年度の合計でチェックする方法に変更する。
- この単年度主義の撤廃に関しては、初回認定時だけでなく、再認定時にも適用し、パブリック・サポート・テストだけでなく、共益的活動の制限や事業活動の適正性に関する要件にも適用することとする。
(3)共益的な活動の制限に係る要件の緩和
- 全体の事業活動のうち、自らの会員等を対象に行う共益的な活動の占める割合を50%未満とする要件について、対象となる活動や会員等の範囲の見直しなどにより、共益的な活動に係る制限を緩和する。
- 特定者や特定の著作物の普及・宣伝活動に関する制限があるが、これを撤廃する。
(4)役員・社員の親族要件等の緩和
- 親族等や特定の法人の従業員等の役員・社員に占める割合に関する制限を課すのは役員に限定し、社員に関しては親族等や特定の法人の従業員等の割合の制限を加えないこととする。
- 親族等の範囲に「役員(社員)と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も入っているが、これは削除する。(他の要件でも親族等の範囲から削除する)
2.申請書類・報告書類の改善・緩和
(1)寄附者名簿等の公開措置の緩和
- 個人情報保護の観点から、認定申請の際に必要な書類及び認定後の報告書類のうち、20万円以上の寄附者の氏名、住所、寄附金額等を明らかにした書類の提出義務は廃止し、一般の閲覧対象としないこととする。
- 個人情報保護の観点から、役員・従業員の給与に関しては、全員の給与を公開することとなっているが、金額の多い順に上位5位までの者に限定する。
(2)申請書類・報告書類の簡素化
- 小規模の法人のために、賃金に関する情報、従業員の給与などの報告書類を廃止し、申請書類および報告書類を簡素化する。
- 申請書類を明確に限定し、申請書類以外の書類に関しては、原則的に提出しないでよいこととする。
- 事業報告書等の提出書類のうち、居住行政区別の会員数に関する書類など、認定要件とは関係ない書類については、廃止する。
(3)所轄庁の証明書の撤廃
- 所轄庁による法令等の違反がないことに関する証明書の添付を廃止する。
3.認定の有効期間の延長および更新制度の導入を
- 認定有効期限を2年から5年と延長する。また、2事業年度毎の報告書において要件を満たしていれば自動更新できるようにする。
4.みなし寄附金制度の控除枠の拡大を
- 現在、所得金額の20%を限度としているみなし寄附金制度の控除限度額を50%に引き上げる。
5.寄附控除枠の拡大を
- 個人が認定NPO法人に寄附をした場合の寄附金に関しては、控除対象額の計算において1万円の足切りがあるが、これを撤廃する。
- もしくは、年間の寄附金額が1万円以下の寄附者の場合は、税額控除を選択できることとする。
- 法人寄附者については、寄附金の損金算入限度枠を所得の5%にまで拡大する。
6.審査期間の明確化を
- 認定申請後の審査期間を3ヶ月以内と明確に定める。
7.地方税における寄附金控除制度の適用を
- 個人住民税の課税所得の計算において、認定NPO法人に寄附をした場合の寄附金を国税と連動して控除できるようにする。
- 地方税における寄附金控除の10万円の足切りを撤廃する。
以上