行政 : 内閣府、支援税制利用状況調査公表
内閣府は、11月10日、今年7月に実施した「NPO法人の実態及び認定NPO法人制度の利用状況に関する調査」の結果を公表した。半数のNPO法人が認定NPO法人化を希望しているにも関わらず、そのほとんどが、認定要件を満たしていない、申請準備がわからないといった理由から申請に至っていない現状が明らかになった。内閣府では、この調査結果を踏まえて、必要な対応を検討して、認定NPO法人制度の活用増進にあたりたいとしている。
平成10年12月にNPO法が施行されてからNPO法人の数は着実に増加し、平成16年9月末には18,000件を超えた。平成13年には「認定NPO法人制度(NPO支援税制)」がスタート。
この制度は、認定を受けたNPO法人に寄附をした者に税制優遇措置を講ずるというもので、資金調達に苦労しているNPO法人にとっては、寄附や会費を集めやすくするなどの恩恵となるもの。しかし、今年9月末現在、認定NPO法人になれたのはわずか25法人だ。
内閣府は、今年7月、全国のNPO法人に対して、「NPO法人の実態及び認定NPO法人制度の利用状況に関する調査」を実施した。
この調査の目的は、認定NPO法人制度の活用増進のために、どのような対応が必要なのかを検討するための基礎資料とすること。
調査対象としたのは、今年3月時点で認証を受けている、16,136のNPO法人と6月末時点で認定を受けていた24の認定NPO法人。3,242の認定を受けていないNPO法人(回答率20.1%)と、22の認定NPO法人(同91.7%)から回答を得た。
認定を受けていないNPO法人に対する調査結果では、認定申請をおこなうことのできる2事業年度が経過した法人は全体の約54%。
寄附金の受け入れが全くない法人が約4割、50万円未満の法人が3割を超えており、NPO法人における寄附の受け入れが少ない現状が明らかになった。
認定要件である「総収入に占める寄附金の割合が2事業年度とも5分の1以上でなくてはならない」という、いわゆるパブリックサポートテストに関しては、要件を満たすのは有効回答法人の5%のみだった。
認定NPO法人になることを希望している法人は約5割。しかしながら、実際に申請準備をすすめているのは、認定を希望している法人の1.5割にとどまる。その理由の第1位は「認定要件をみたしていない」、続いて「申請準備がわからない」、「日常業務が忙しい」。
認定NPO法人に対する調査では、寄附金の受け入れ件数、金額ともに増加傾向が明らかで、半数以上の認定NPO法人が、寄附の受け入れ金額が1000万円以上となっていた。
認定のメリットについては、ほとんどの認定NPO法人が、社会的信用が高まった、寄附金が増えた等、一定のメリットがあったと答えた。
みなし寄附金制度の活用状況については、22認定NPO法人のうち税法上の収益事業を行ったのは7法人。このうちみなし寄附金制度を活用したのは1法人のみだった。ただし、今後のみなし寄附金制度の活用の意向がある法人は13法人あった。
認定後に毎事業年度提出する報告書類について一般の閲覧に供することについては、8法人が問題ありと答え、その理由としては8法人ともに「寄附者の個人情報が悪用される危険性」をあげた。
内閣府は、この調査結果をふまえ、今後、認定NPO法人制度がより広くNPO法人に活用されるためには、1)NPO法人に対する寄附意識の向上、2)制度についての普及啓発、3)申請手続きや会計処理に対する支援の充実、4)認定要件など制度面の検討、に取り組むことが必要だとしている。
「NPO法人の実態及び認定NPO法人制度の利用状況に関する調査」の詳細は、内閣府サイト内、下記を参照のこと。
http://www.npo-homepage.go.jp/report/h16a-1.html