行政 : 民主党が、公益法人制度改革で談話発表
民主党のNPO・公益法人制度改革プロジェクトチーム(座長石毛えい子衆議院議員)は、12月24日、「公益法人制度改革に関する閣議決定について」とした座長談話を発表した。政府の新しい行政改革大綱である「今後の行政改革の方針」について、「いくつかの懸念すべき事態が想定される」と問題を指摘している。
民主党の談話は、政府が24日に、新行政改革大綱「今後の行政改革の方針」を閣議決定したことを受けて発表されたもの。
談話は、新行政改革大綱の公益法人制度改革を対象にした内容となっている。
談話では、政府の大綱で、公益法人と中間法人を統合するとしたことを踏まえ、『「一般的な非営利法人」は営利企業並みの課税(法人税については原則課税)とされる可能性が高い』とした上で、『そうなればこの新制度は、中間法人制度と同様ほとんど利用されないばかりでなく、あるいは公益法人課税の大前提を覆すという意味で、公益法人に限らず、特定非営利活動法人等全ての非営利法人に影響を与えかねない』と、懸念を表明している。
また、政府の大綱で、「公益性を有する非営利法人」(いわゆる2階部分)について、『「公益的事業が営利企業の行う活動を阻害しないこと」といった縛りが盛り込まれている。これでは、例えば営利企業の進出著しい福祉・介護分野等において、営利企業の活動が優先され、公益法人が遠慮しなければならないという事態が生じかねない』と批判している。
民主党としては、このような政府の方針とは一線を画して、今後、新しい制度設計について具体的検討を進めるとしている。
民主党が24日に発表した「公益法人制度改革に関する閣議決定について」(談話)の全文は以下の通り。
公益法人制度改革に関する閣議決定について(談話)
2004年12月24日
民主党NPO・公益法人制度改革PT座長
石毛えい子
本日、政府は「今後の行政改革の方針」を閣議決定した。
公益法人制度改革については、本年11月19日に「公益法人制度改革に関する有識者会議」が公表した報告書に沿った内容であったが、報告書自体、今後の検討に委ねられている部分も多く、現段階で評価することは難しい。それでも、報告書の内容をふまえて改革の方向性をあえて類推した場合、いくつか懸念すべき事態が想定される。
最大の問題は、関係者の関心が最も高い税制について、ほとんど触れられていないことにある。役所の縦割り故に検討することを許されなかった有識者会議には気の毒な面もあるが、新しく創設する「一般的な非営利法人」は中間法人と統合させるという方針から類推すれば、「一般的な非営利法人」は営利企業並みの課税(法人税については原則課税)とされる可能性が高い。
そうなればこの新制度は、中間法人制度と同様ほとんど利用されないばかりでなく、あるいは公益法人課税の大前提を覆すという意味で、公益法人に限らず、特定非営利活動法人等全ての非営利法人に影響を与えかねない。
「公益性を有する非営利法人」についても、判断要件を「できる限り裁量の余地の少ない明確なものとする」としつつ、現時点では具体的に明らかにしていない。他方、33ある収益事業と「公益的事業」の関係も明確にされないうえに、「公益的事業が営利企業の行う活動を阻害しないこと」といった縛りが盛り込まれている。これでは、例えば営利企業の進出著しい福祉・介護分野等において、営利企業の活動が優先され、公益法人が遠慮しなければならないという事態が生じかねない。
我々は、政府が今般の公益法人制度改革を行政改革としてしか捉えていないことを懸念する。政府は「広く民間非営利部門の活動の健全な発展を促進する」ことを改革の趣旨として掲げるのであれば、その趣旨をこそ真剣に受け止められることを希望するものである。
民主党は、法人税を原則非課税とする非営利法人と、社会貢献性を要件に税制優遇措置と連動した税制支援非営利法人の2つを柱とする新たな制度を、昨年6月に中間報告として提案している。年明けより、制度の具体的な内容について検討を進めることとしているが、その際には、政府の轍を踏まぬよう、制度論と税制を一体で議論する予定であり、現場の公益法人やNPOからも精力的に意見を伺いながら、市民公益を実現するためのあるべき公益法人制度を国民に提案する。