行政 : 公法協、制度改革のアンケート実施
(財)公益法人協会(太田達男理事長)は、2月9日、同協会が1月に社団や財団、有識者を対象に行った、「公益法人制度改革に関するアンケート」の結果を発表した。主務官庁制の廃止が好意的に受け入れられる一方で、中間法人との統合には否定的な意見が大勢を占める結果となっている。
このアンケートは1月17日から31日を期限として実施されたもの。調査方法はE-mailによった。その後、期限後にも返信があったため、2月9日まで延長して実施された。
対象は、(財)公益法人協会がE-mailアドレスを把握できた9170の社団法人や財団法人。これは、約2万6千ある公益法人の約3分の1となる。これに加え、学者や弁護士、公認会計士、政治家、ジャーナリストなど有識者165名にも同様のアンケートを送付した。
結果、公益法人2207(回収率24.1%)、有識者から42(25.5%)の有効回答を得た。
アンケートは、昨年12月24日に閣議決定された行革大綱のなかで、公益法人制度改革に関する政府方針が明らかになったことを受けて、これについてどう考えるかを問う内容となっている。
改革の焦点ともいうべき中間法人制度との統合については、「一元化しても、新公益法人と公益性のない一般の非営利法人とが何らかの形で明確に区別がつけられるようであれば、賛成」(43.1%)、「反対」(35.4%)と、区別をなくすことには否定的な意見が目立った。条件付賛成者も条件が満たされない場合は反対にまわる可能性があり、今後の制度設計如何によっては、公益法人界からの反発が予想される。
また、NPOや社会福祉法人、学校法人が対象とならなかったことについては、賛成が44.7%、反対が36.4%と賛成が反対をやや上回った。
規制緩和の目玉とされている主務官庁制度の廃止には46.7%が賛成。インターネットによる情報開示などには74.8%が賛成という結果になている。ただ、主務官庁制度の廃止には29.9%が反対していることなど、公益法人界の複雑な心境が浮かびあがる結果となっている。
公益性の判断機関の委員構成に関しては、「行政の意向、民間の意向がバランスよく反映される委員会が望ましい」という選択肢が75.2%と圧倒的な支持を受けているが、これは選択肢の表現が「無難」(公益法人協会)であることによったものと推察される。
新制度発足後、どの法人類型がふさわしいと考えるかについては、ほぼ9割が新制度の「公益性のある法人」と答えたが、一部は、NPO法人、社会福祉法人、公益性のない非営利法人、株式会社などの営利法人と回答している。
自分の組織は、新制度では「新公益法人がふさわしい」と考えている法人が全体の87.6%に上ってはいるが、一方、具体的検討として自分の組織を今後どうするかについては、約92%の回答者が「検討中」「情報収集中」「何も考えていない」と答えるなど、政府の検討の行方を見極めようというムードが強い結果となっている。
なお、新しい制度の下では、自分の組織はNPO法人になるのが相応しいと応えている法人はわずか0.8%とほとんどがNPO法人化を望んでいないことも分かった。
このような結果となったのは、税制に関する政府の検討がまだはじまっていないことに加え、閣議決定された政府案にもまだ不透明な部分が多いからだと考えられる。
調査を実施した公益法人協会では、これにクロス分析を加えるなど、さらに分析を深め、制度改革にいかしていきたい考えだ。
アンケートの集計結果については、以下のURLからみることができる。
http://www.kohokyo.or.jp/non-profit/seidokaikaku/kohokyo/enquete0502.html