行政 : 国交省、町家活用ガイドライン策定
国交省は、今も各地に残されている町家等の伝統的木造建築物を保存し、活用をするため、具体的手順や全国の状況などを盛り込んだガイドラインをとりまとめた。このような建造物を活かしたまちづくりを進めるにあたっては、建物の所有者だけでなく、NPOや地域住民など多様な主体が連携することの重要性にも言及している。
このガイドラインは、平成13年に示された都市再生プロジェクトを受けて検討、策定されたもの。
都市再生プロジェクトでは、都市における既存ストックを活用したまちづくりを推進していくことも視野にいれられており、京町家をはじめとする中心市街地の建築物について、伝統的な外観の継承や居住性の向上を図りつつ、再生・活用に向けた取り組みを強化する方針が示されていた。
策定にあたって国交省は、「都市における京町家等伝統的工法による建築物再生・活性化方策検討委員会」(委員長・巽和夫京都大学名誉教授)を設置し、委員会での調査検討を経たうえで、その後の建築基準法の改正や、景観法の制定等最新の動きも盛り込み、作成した。
ガイドラインでは、近年各地で進められている、伝統的建造物を活かしたまちづくりの全国的に共通する事項や、手順、利用できる国の施策などを紹介している。
町家などを活用してまちづくりを進めたい人にとって、防火など安全性も兼ね備えた改修方法から、行政やNPOと連携したまちづくり方法、全国的な取組み事例など、総合的な情報を得ることのできる内容となっていることが特徴。
改修方法としては、建造物の良さを活かしつつ所有者の快適に暮らしたいというニーズを満たすため、可変性の高い間取りをいかした改修や、商業施設としての可能性に言及されているほか、土塗壁や面格子壁が平成15年2月の建築基準法の改正により、構造耐力上の評価がなされたことで、設計の自由度が高まったことなどが紹介されている。
まちづくりに関しては、このような建築物が一定以上集積している場合は、観光資源としての活用が期待できるとして、電線類の地中化や舗装の美装化などで伝統的な街並み景観の保全や復元の可能性を指摘している。
その際、利用できる景観法の規定や、良好な街並み形成のための国の補助制度である「町なみ環境整備事業」なども紹介した。
このような取り組みは、町家の所有者だけでなく、市町村、まちづくりの専門家、事業者、NPOや地域住民など多様な主体が連携すべきこともあわせて強調している。
段差が多い、寒い、間取りも使い勝手が悪いなどといった理由で、まちの片隅に放置されつつあった町家だが、近年、この独特の空間を好み移住する人が増えたり、多く残されている地域では、これをまちづくりに活かす動きも広がっている。国交省では、このような機運を後押ししたい考えだ。
ガイドラインの全文は以下のURLにアクセスすると読むことができる。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/071227_.html