行政 : 全国のVCO集まり研究集会、「有償ボランティア」議論に
日本ボランティアコーディネーター協会が主催する「JVCC2005」が、2月25・26・27日の三日間、東京で開催された。全国より約600人のボランティアコーディネーター(VCO)が集まり、ボランティア活動推進に関する活発な議論が行われた。
JVCCの正式名称は、全国ボランティアコーディネーター研究集会。
この集会は、1983年に大阪で始まった「在宅ニーズ需給調整についての関係者懇談会」が発展、1994年から「全国ボランティアコーディネーター研究集会」として、年1回開催されるようになったもの。
11回目の開催となる今回は、テーマを「伝えていこう!コーディネーターの追求する価値と果たすべき役割」として、渋谷区代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターを会場に、全国から約600名のボランティアコーディネーターが集まり、ボランティア活動を取り巻く様々な課題を議論した。
今年は、ボランティア活動が社会的注目を浴びた阪神・淡路大震災から10年目という節目の年。また昨年は、「ボランティアコーディネーター」という言葉の商標登録申請問題や、有償ボランティア活動を含む「ふれあい事業」課税問題など、ボランティアを取り巻く議論が活発な一年でもあった。そのためJVCCでは、「災害時のボランティア活動」や「有償ボランティア」をテーマにした「オープン企画」を複数設け、ボランティアコーディネーターに限らず、広くボランティアコーディネーションに携わっている人の参加を呼びかけた。
「有償ボランティア」に関する議論では、「ふれあい事業」への法人税課税問題「流山訴訟」をもとに、木原勇氏(さわやか福祉財団)、石川治江氏(ケア・センターやわらぎ)、山内直人氏(大阪大学)をパネルに迎えて、ボランティア活動の労働報酬のあり方を、フロアを交えて議論した。
「有償ボランティアは認めない方が望ましい」という意見と、「多様な活動があって良い」という意見にフロアが分かれる中、コーディネーターの早瀬昇氏(JVCA運営委員・大阪ボランティア協会事務局長)は、「有償ボランティア活動は、課税だけでなく、活動の責任主体や対等性の確保といった幅広い問題を含んでいる。現場の最前線で活動しているボランティアコーディネーターは、多様な方法で多様な人々が支えているという現実をふまえた上で、その先にあるビジョンを考えていかなければならない。」と議論をまとめた。
JVCC2005実行委員会事務局長の唐木理恵子氏は、「ボランティア活動の社会的認知が高まるにつれ、『ボランティア』という言葉で市民が便利に使われようとする傾向も強まってきている。安易な『ボランティア』推進を阻止するのもボランティアコーディネーターの仕事。この集会は、現場や立場を問わず、『ボランティアコーディネーターは市民の社会参加を支える専門職』と考える人が一堂に集まり、その役割や価値を高めながらつながりあえる場となることを重視している。」と、開催の意義についてコメントした。
集会を主催する日本ボランティアコーディネーター協会(JVCA)は、ボランティア活動を「市民が主体的に社会の問題解決に取り組む活動」ととらえ、その活動を支える専門職「ボランティアコーディネーター(VCO)」の専門性の向上と社会的認知の推進を目的に設立されたNPO法人。
JVCAでは昨年9月、ボランティアコーディネーターの専門的な役割の確立を目的に『ボランティアコーディネーターの基本指針』をまとめている。
この基本指針では、「ボランティアは、市民社会を構築する重要な担い手である」と明記し、「ボランティアコーディネーターの役割は、ボランティア活動を通して、市民として成熟していくプロセスを大切にし、それを支える」ことと謳っている。
JVCAでは、「有償ボランティア」という表現は使わない。
この、ボランティアコーディネーター基本指針の全文は、日本ボランティアコーディネーター協会のホームページで読むことができる。
特定非営利活動法人日本ボランティアコーディネーター協会(JVCA)
http://www.jvca2001.org/
また、「ふれあい事業」の法人税課税問題については、以下のシーズのニュースで扱っている。
https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1909