行政 : 平成17年版高齢社会白書
政府は6月3日の閣議で、平成17年版高齢社会白書を決定して公表した。白書には、高齢者の社会参加の場として、NPOでの活動状況や、活動意識などの調査結果が盛り込まれている。
高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書で、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、また、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について明らかにしている。
平成17年版高齢社会白書は、「平成16年度高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」と「平成17年度高齢社会対策」の2つの部分から構成されている。
白書には、高齢者とNPO活動についての報告も盛り込まれた。
「平成16年度高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」では、「各種NPO活動に関する関心」について、内閣府が実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査」の結果が掲載されている。
それによれば、調査対象となった60歳以上が関心のある活動分野として選択したのは、「まちづくりの推進を図るNPO」が8.1%と最も多く、次いで「シルバー人材センターなど」が7.5%、「保健、医療又は福祉の増進を図るNPO」が7.4%、「環境の保全を図るNPO」が5.9%、「子どもの健全育成を図るNPO」が5.3%等の順となっているが、68%の人が「関心がない」と答えている。
また、「高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究」の項では、内閣府がNPO法人、NPO活動参加者に対して実施した「高齢者の社会参加の促進に関するアンケート調査」の結果が掲載され、世代間の参加比較も紹介されている。
この調査のうち、NPO法人を対象に行った、事務局業務への参加に関連した設問に対して、高齢者ではない世代がより活動しているという団体が5割を超える結果となった。しかし、一方で、高齢者の方が多く活動している団体3割、「どちらも変わりなく活動している」と答えた団体も2割あった。
また、ボランティア活動については、高齢者ではない世代がより活動しているという団体が5割近くあったが、一方で、高齢者の方がより多く活動しているという団体も2.5割、どちらも変わりなく活動していると答えた団体も2.5割あった。
また、「戦力としての高齢者の評価」に関する調査では、「高齢者の中でも差が大きく一概には言えない」という回答が最も多くなっているが、「対外調整・折衝」と「管理・監督」では、比較的高齢者に対する評価が高かった。一方で、「創造的発案・企画力」については、高齢者への評価が低いといった結果が示されている。
活動参加者を対象に行った調査結果では、ボランティア活動への参加理由として、「自分自身の生きがいのため」が67.7%で最も多く、次いで「色々な人と交流できるため」が58.3%、「自分の知識や経験をいかす機会がほしかったため」が42.6%と続いている。一方で、「報酬を得たいから」と応えた活動参加者も12.9%という結果となった。
引退時期と活動開始時期との関係については、「退職又は引退と関係なく、就労活動と並行してボランティア活動を行ってきた(行っている)」が32.9%だった。一方で、退職又は引退後にボランティア活動を始めたという人も47.6%と半数近く、「退職又は引退時期を意識し、その前から就労活動と並行してボランティア活動を始めた」人は9.7%にとどまった。
白書の「平成17年度高齢社会対策」では、全国の社会福祉協議会が行っているボランティア入門講座などの支援を引き続き行うとともに、NPO法人に関する一元的な情報提供をする「NPO法人情報ポータルサイト」の構築に取り組むとしている。さらに、ボランティア募集のできる「ボランティアウェブ」、ボランティア情報誌「ヤッテボラン」などによる普及啓発活動を引き続き行うとしている。
平成17年版高齢社会白書の全文、概要は内閣府サイト内、下記で読むことができる。
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html
また、全国の政府刊行物サービスセンター、官報販売所等でも購入できる。