行政 : 昨年の米国寄附総額は、過去最高
米国の「ギビングUSA財団」は、6月15日、2004年の米国における寄附に関する年次報告書を発表した。2004年中の寄附総額は、約2485億ドル($1=108の場合、約26兆8380億円)で、過去最高の数字となった。シーズでは6月24日、こうした米国の寄附状況も紹介しつつ、寄附・会員集めの基本講座を開催する。
ギビングUSA財団(正式名称:フィランソロピーのための米国資金調達協会信託:American Association of Fundraising Counsel Trust for Philanthropy : AAFRC Trust for Philanthropy)は、毎年、インディアナ大学フィランソロピー・センター研究による米国の寄付に関する年次報告書「ギビングUSA(Giving USA)」を出版している。
今年50回目の発行となる。
6月15日に発表された「ギビングUSA 2005」によれば、2004年中の米国内の寄附金総額は、過去最高の2485億ドルとなった。同年12月26日には、インド洋大津波が発生しているが、この津波被害への寄附は、2004年中の寄附全体の0.5%以下。津波寄附のほとんどは、次の2005年の調査に含まれることから、2004年は津波以外の要因で、寄附額が向上したことになる。
米国内の過去4年間の寄附金総額の推移は、次のとおり。
- 2001年 2,108億9千万ドル($210.89 billion)
- 2002年 2,409億2千万ドル($240.92 billion)
- 2003年 2,407億2千万ドル($240.72 billion)
- 2004年 2,485億2千万ドル($248.52 billion)
寄附をしているのは、圧倒的に一人一人の市民。こうした個人からの寄附だけで、全体の4分の3以上を占めている。
寄附者タイプ別の割合と寄附金額は次のとおり。
- 個人からの寄附:75.6%(1,879億2千万ドル)
- 財団からの助成金(寄附):11.6%(288億ドル)
- 遺贈や相続財産の寄附:8.0%(198億ドル)
- 企業からの寄附:4.8%(120億ドル)
ギビングUSAによれば、これら4つのタイプの寄附者による寄附額は、いずれも前年より4%から9%上昇しているという。
寄附を受けた団体の分野毎の割合は次のとおり。
- 宗教団体:35.5%(883億ドル)
- 教育関連:13.6%(338億4千万ドル)
- 保健・医療関連:8.7%(208億9千万ドル)
- 福祉サービス関連:7.7%(191億7千万ドル)
- 芸術・文化関連:5.6%(139億9千万ドル)
- その他公益関連(※):5.2%(129億6千万ドル)
- 環境・動物保護関連:3.1%(76億1千万ドル)
- 国際協力関連:2.2%(53億4千万ドル)
- 財団への寄附:9.7%(240億ドル)
(※日本の共同募金と類似したUnited Wayなど)
いずれの分野も、2004年には前年の寄附額よりも上昇しているが、なかでももっとも大きく受入寄附額を増やしたのは、環境・動物関連分野で7%の増加となっている。もっとも上昇率が低かったのは国際協力関連で、0.8%の伸びにとどまった。
ただし、インフレ率調整後は、国際協力と福祉関連の分野は、マイナス成長となる。
なお、シーズでは、米国の寄附市場も紹介しながら、日本で寄附・会員集めを行うにあたっての基本的考え方を学ぶセミナーを、6月24日午後7時から中野サンプラザで開催する。
セミナーの詳細は、次のページを参照のこと。
https://www.npoweb.jp/event_info.php3?article_id=2156
ギビングUSAの詳細は、次のホームページで見ることができる。
http://www.aafrc.org/