行政 : 土佐で有機農業、NPOと県が協働
高知市に事務所を置くNPO法人「黒潮蘇生交流会」は、高知県との協働で、土佐郡土佐町土居に「有機のがっこう・土佐自然塾」を開塾することとなり、この7月末には開塾記念式典を開催、8月からは本格的な広報を始める。第一期生の塾生はこの秋に全国から公募し、来年4月から研修を開始する予定。
高知県認証のNPO法人黒潮蘇生交流会(山下修理事長)は、昨年6月、県が募集した「NPOと行政との協働推進事業」に応募。環境に配慮した農業普及を目指す「有機のがっこう・土佐自然塾」の企画が、同年8月に採択され、県の環境農業課とともに計画を練ってきた。
狙いは、無農薬有機農産物を産地化して県の農業競争力を強化するとともに、全国から塾生を募集して次世代の農業担い手を育成し、定住をはかることで地域を活性化していくこと。
塾の施設としては、土佐町土居の「土佐人材養成センター」を借りる。農業実習用地としては、同センター脇の同町所有の約30アール(3000平方メートル)を整備中。研修が始まる来年4月までには、さらに広げていく予定だ。
実習では、ハウスあるいは路地畑で、キャベツやレタスなどの葉菜、トマト、ナス、ピーマンなどの果菜など、多品目の作物の栽培を学ぶことになる。座学にも300時間をあて、研修期間は一年。地域の篤農家も講師として招き、地元との交流も図る。
県は、2005年度は1230万円を同事業への補助金として計上済み。土佐町だけでなく、本山町、大豊町、大川村などの近隣市町村やJAなども、塾生が卒業した後も定住できるよう、空き家や遊休農地のリスト化などを進めていくという。
塾長には、実際に本山町で無農薬有機農業を実践している山下一穂さんが就任する。高知県の農業専門職員2名も講師を務める予定だ。
第一期塾生は10名を予定しており、7月から公募に関するPRを開始。9月から申込みを受付ける。応募者には実際に現地に足を運んでもらい、12月から来年2月までに決定する。
県環境農業課の浜渦氏は、「計画どおり、塾生に来てもらい、有機農業の実習ができるよう環境を整えていきたい。有機の野菜がもっと身近なものになるよう、努力していきたい」と語っている。
また、「有機のがっこう・土佐自然塾」開設準備室・室長で「黒潮蘇生交流会」の中山公人氏は、「豊かな海を取り戻すためには、流れ込む川を蘇らせなければならない。川を蘇らせるには山野を特に農薬などで汚染された農地を生き生きとした環境の浄化源とする必要がある。有機のがっこう・土佐自然塾は、その意味で良質な環境を作るための小さな、しかし、確実な第一歩となるはず。将来、塾の卒業生を中心に、無農薬有機農業の普及と就農者の増加による産地化が実践できた時、この地域の自然環境と経済は理想的な形で進化することになるはずだ」と抱負を述べている。