行政 : 北海道、閲覧配慮要請を拒否
札幌市に主たる事務所を置くNPO法人北海道NPOサポートセンターと、NPO法人NPO推進北海道会議は、6月10日に2004年度の事業報告書等を、所轄庁である北海道に提出したが、この際、役員名簿・社員名簿の個人住所の閲覧について、連名で特別の配慮を要請。しかし、今月に入ってこれが拒否されていたことが分かった。
北海道NPOサポートセンター(杉山さかえ理事長)は、札幌市中央区に主たる事務所を置くNPO法人。道内の市民活動団体の法人化サポートや、NPOを対象とした研修事業など、さまざまなNPO支援を行っている。NPO推進北海道会議(田口晃代表理事)も、札幌市中央区に主たる事務所を置くNPO法人で、NPOに関する推進施策提案や、調査研究活動などを行っている。
両法人は、6月10日、2004年度の事業に関する報告書等を所轄庁である北海道・生活振興課市民活動グループに提出する際、役員名簿、社員名簿に関する特別の配慮を要請した。
特定非営利活動促進法第28条および第29条は、役員および社員のうち10人以上の者の住所又は居所を記した名簿を、法人事務所及び所轄庁に備え置いて、閲覧の請求があった場合には、閲覧させなければならないこととしている。
両法人は、このことは十分に承知したうえで、「個人情報保護の問題等を考えたときに、詳細な住所を誰でも見ることができるということは、非常に危険な状況」であると判断。
そのため、「個人の住所を詳細に記したもの」と、「省略したもの」の2種類を提出。閲覧の請求があった場合には「個人の住所を詳細に記したもの」を、閲覧棚に置く場合には「省略したもの」を利用して欲しい旨、文書にて要請した。
これを受け、北海道では内閣府に問い合わせを行ったが、現行のNPO法のもとでは両法人の要望を受け入れることはできないことを確認し、7月5日に文書にて回答を行った。
北海道によれば、同庁の閲覧室において閲覧棚から閲覧を行う場合でも、閲覧者は名簿に記名等をすることとなっており、これは閲覧の請求と同等であるという。
所轄庁のなかにも、今年4月から施行した個人情報保護法の観点からすれば、個人の住所を公開することに疑問をもつところもあるようだが、NPO法の定めによって、閲覧の請求があれば、現状は公開せざるをえない状況。
しかし、今回の北海道NPOサポートセンターとNPO推進北海道会議の試みは、「今後の見直し材料になりうる可能性はある」と内閣府も捉えているようであり、NPO法改正の弾みとなることが期待されている。