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2005年08月09日 10:00

行政 : 高齢者は活動に満足、報酬には不満

 7月25日、内閣府の「高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究会」(座長・清家篤慶応大教授)は、高齢者のNPO参加に関する調査報告書「高齢者の社会参画に関する政策研究報告書(NPO調査編)」を発表した。調査結果では、活動参加高齢者の8割が活動への満足感を得ているものの、希望する報酬より実際のほうが少ない人が5割に上った。

 

 高齢社会対策の一層の推進を図るため、内閣府では、平成14年度から「高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究会」を設置している。

 同政策研究会は、7月25日に高齢者のNPO活動参加に関する調査報告書「高齢者の社会参画に関する政策研究報告書(NPO調査編)」を公表した。

 この調査は、昨今、高齢者の社会参加の場としてNPO活動が注目されていることから、NPO法人における高齢者の受け入れ実態と団体側の意向、参加高齢者の活動状況と意向を把握することを目的に実施された。

 調査は、今年1月に実施。1月時点で所轄庁のホームページに掲載されているNPO法人の中から5千団体を無作為抽出して、代表者と3名の高齢者(60歳以上)の参加者を対象に調査票を郵送。代表者、参加者ともに個別回収した。回収数は、団体代表者が1,131件。参加者が1,428件。

 NPO法人の代表者への調査結果では、回答したNPO法人のうち約3割の団体が、事務局、現場ボランティアともに、高齢者が中心となって活動していると回答。高齢者の活動形態については、約3割の団体で、「曜日や時間を決めて定期的に活動」しており、必要に応じて「補助的要員として活動してもらっている」と回答した団体は1割弱にとどまった。

 団体が高齢者に求める資質は、事務局では1位が柔軟性(48.0%)、2位が協調性(41.5%)、3位がコミュニケーション能力(38.5%)で、活動現場では、1位が協調性(50.1%)、2位がコミュニケーション能力(45.8%)、3位が健康(42.8%)だった。

 戦力としての高齢者の評価では、他の世代と比べて評価が高いのは「対外調整・折衝」。約3割の団体が「総じて言えば高い」と回答して、「総じて言えば低い」とした団体の4倍値となった。他方、評価が低いのが「創造的発案、企画力」で、約2割の団体が「総じて言えば低い」と回答し、「総じて言えば高い」とした団体は約1割にとどまった。

 参加高齢者への調査では、参加目的(複数回答)の1位が「自分自身の生きがいのため」(67.7%)、2位が「色々な人と交流できるため」(58.3%)、3位が「自分の知識や経験を生かす機会がほしかったため」(42.6%)。「報酬を得たいから」は12.9%にとどまった。

 活動への満足感は、「十分満足している」と「多少満足している」を合わせると8割を超え、「あまり満足していない」と「まったく満足していない」を合わせても1割半に満たなかった。

 参加のきっかけについては、複数回答で約6割の人が「友人・知人の紹介」と答えて圧倒的に1位を占めた。2位「他の団体での活動を通じて」や3位「就労活動を通じて」と答えた人はそれぞれ1割に達しなかった。

 また、回答した参加高齢者の86.3%が年金を受給しており、76.1%が家計の心配がないと回答している(「まったく心配していない」と「それほど心配ない」の合計)。報告書では、昨年度の内閣府の高齢者への意識調査では、65歳以上の高齢者のうち、家計に心配ない人の割合が55.7%であったことと比べ、比較的経済的に充足感の高い人高齢者がNPO活動に従事していると分析している。

 報酬については、参加高齢者の約7割が「無報酬」または「交通費実費のみ」。実際の報酬と希望する報酬の差については、希望する報酬を下回っている人が51.3%。一致している人(43.3%)をやや上回った。

 報告書では、高齢者NPO活動に果たしている役割は大きいとし、高齢者がNPO活動を通じて社会の活力の維持・増進によりいっそう参画できるようにするためには、情報提供の拡充、実効ある研修・講習の実施によるボランティア人材の育成が求められていると提言。「今後、ビジネス型NPOが増加し、活動に報酬を支払う動きが強まる可能性がある」として、報酬によって参加者のモチベーションが高まる可能性を指摘し、法令の適用などの面で、雇用関係における就労との関係の整理が重要になってくるだろうと指摘している。

 「高齢者の社会参画に関する政策研究報告書(NPO調査編)」は、内閣府サイト内、下記に掲載されている。

 http://www8.cao.go.jp/kourei/kenkyu/kenkyu.html

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