行政 : 3割の公益法人に「天下り」理事
総務省は、8月5日、国や都道府県が所管する公益法人の実態をまとめた「平成17年度公益法人に関する年次報告」(公益法人白書)を発表した。報告書によれば、2004年10月1日現在、国家公務員出身の理事がいる国所管の公益法人、地方公務員出身を理事に迎えている都道府県所管の公益法人が3割に上ることが明らかになった。
「公益法人に関する年次報告」(公益法人白書)は、平成8年9月20日の閣議決定に基づき、公益法人の実態及び状況等を明らかにする目的で、平成9年度から毎年出版されている。
8月5日に発表された報告書によれば、平成16年10月1日現在、公益法人の総数は25,541法人。その内訳は、社団が12,749法人で、財団が12,792法人。総数では前年度よ284法人減少しており、平成10年のピーク時(26,380法人)からの減少傾向が続いている。
新設法人数についても、近年のピークであった平成8年の434法人と比べると、平成17年は97法人と大幅に減少している。解散法人も402法人あった。
いわゆる「天下り」については、批判があるなかで、国、地方とも見直しが進んでいない実態が明らかになった。
具体的には、国所管の公益法人6,894の33.4%にあたる2,300法人に国家公務員出身の理事がおり、総数は5,859人。前年より法人数では25法人、理事数で30人減少したものの、依然として「天下り先」となっていることを示した。
「天下り」については、都道府県所管の法人でも、総数18,803法人の26.4%に当たる4,971法人に地方公務員出身の理事がおり、理事数は12,584人で、前年に比べて55人減っただけ。
政府の公益法人指導監督基準では、所管官庁出身の「天下り」理事を、全理事の3分の1以下に抑えるとしているが、国所管では18法人が、都道府県所管では392法人が基準を満たしていなかった。
指導監督基準との適合状況では、公益法人本来の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く)の規模を総支出額の2分の1以上とする規定に反する法人が42.9%%に上った。また、情報公開については、業務・財務などの資料をインターネットで公開するように求められているが、都道府県所管の法人のホームページ開設率は40.2%(国所管の公益法人では76.6%)にとどまっている。
報告書では、平成14年から始まった公益法人制度改革にも触れ、改革のスケジュールとしては、「内閣官房において、関係府省との連携の下、更に法制化に向けた具体的検討を行うとともに、所管省において税制上の措置に係る専門的検討を進め、所要の法律案を平成18年の通常国会に提出することを目指す。」としている。
「平成117年度公益法人に関する年次報告」(公益法人白書)は、総務省サイト内、下記ページに掲載されている。
http://www.soumu.go.jp/menu_05/hakusyo/