行政 : 人権問題にも企業協賛
福祉や環境、国際協力などの分野では、企業によるNPO支援はよく話題になるが、人権分野の活動への協力もこのところ徐々に増加してきているようだ。自国で迫害を受け日本に逃れてきた外国人の難民申請や生活支援を行っている難民支援協会が、9月11,12日に開催する「難民アシスタント養成講座」には、松下電器やザ・ボディショップなどが協力している。
日本にも、自国内での迫害を逃れてやってくる難民がおり、日本政府に対して、難民申請をする人の数だけで、年間400人を超えるという。ようやくたどり着いた日本での困難を少しでも減少させるために、NPO法人難民支援協会は、難民申請手続きの手助け、資料の翻訳・通訳斡旋、生活情報提供、医療サービスの提供など、さまざまな活動を行っている。
同会によれば、こうした日本における個別難民の人権擁護活動に対して、以前は企業などからの支援は得にくかったが、このところ、寄附や商品・サービスの提供など、多様な支援が寄せられるようになってきたという。
同会が定期的に開催している一般向けの「難民アシスタント養成講座」には、企業からの支援だけではなく、企業の社会貢献部の社員が受講、知識を深める例もあるという。
今年9月10日、11日に実施する「難民アシスタント養成講座・基礎編」には、松下電器産業、マイクロソフト、ザ・ボディショップが協賛し、文具などの提供を行うことになっている。
また、同会はこれまで、味の素、書泉グランデ、阪和興業、コールドマン・サックス、日本航空、アール・プロメトリックなど、多種の企業から支援を受けてきているという。
一方、囚人の人権や、拷問廃止などの問題に、国際的な視点から活動しているアムネスティ・インターナショナル日本にも、こうした企業からの協力が増加傾向であるという。加えて、企業のCSR(企業の社会的責任)への関心が増すにつれ、企業側からコンサルテーションを求められるようになってきている。現在、アムネスティ日本と、大手の商社や銀行、家電メーカーなどが、CSR分野での交流を始めている。
松下電器産業株式会社・社会文化グループの日塔憲夫氏は、「松下には、社員のボランティアをサポートする仕組みがあり、難民支援協会への支援はそこから始まったもの。他にも、児童労働の問題に取り組むエースやアムネスティへの協力も始まっている。企業としても、人権の問題にも取り組む時代になってきている。」と支援の拡大状況を話している。