行政 : 新宿西口地下広場、募金締め出し
10月1日から赤い羽根共同募金運動が全国一斉に始まったが、かつては街頭募金のメッカだった東京の新宿西口地下広場では、2003年夏以来、新宿警察署の規制により募金活動ができなくなっている。
東京・新宿西口地下広場は人の往来が多く、雨が降っても濡れないため、赤い羽根共同募金、あしなが育英会など、多くの非営利団体が街頭募金に格好の場所として、長年利用してきた。
この広場は「公道」であるため、新宿署の道路使用許可を受けることが義務付けられているが、2003年夏以来「通行の妨げ」になることを理由に、この許可がおりなくなっている。
新宿警察署・交通規制係では、「一番の原因は通行の妨げになること。新宿駅には、一日300万人もの乗降客がおり、街頭募金について、通行の妨げになるという苦情が多く寄せられた。そのため、現在は『抑制』している。ただし、将来、交通量が少なくなれば対応も変える可能性がある」としている。
しかし、背景には、2003年春頃より、北朝鮮拉致被害者の救済、また三宅島噴火の被災者救援などを名目にした募金が目立ち始め、「ニセ募金ではないか」「募金のやり方がしつこい」などの苦情が寄せられるようになったこともあるようだ。
実際、新宿警察署にも「千円寄付しようとしたら『もっと寄付して』と迫られた」「寄付の使途が分からない」など、数多くの苦情があったという。
あしなが育英会では、今月の22日(土)、23日(日)、29日(土)、30日(日)に全国約500カ所での街頭募金を予定しているが、同会理事の山北洋二氏は、「あしなが育英会では、統一のポスターなどに団体名を明記し、募金額の報告もしている。きちんと活動している善意の団体まで、一律的な適用の影響を受けてしまうことは残念だ。しかし、行政側の規制がこれ以上強化されないためにも、これからは募金する側の透明性をより高めていくことも重要」と述べている。
NPOなど、募金する側の透明性・信頼性を高めることや、寄附者自身が確かな目を持つための寄附者教育など、寄附については、まだ残されている課題が多いようだ。