行政 : 米国、ハリケーン特別税制決定
米国では、ハリケーン被災者救援の寄附を促進させるため、9月末、個人納税者、企業(法人)、またボランティアを対象とした税の特別優遇措置を決定した。
9月26日付の米国のNPO資金調達者向けの新聞「クロニクル・オブ・フィランソロピー」によると、米国では、ハリケーン被災者救援のための寄附を促進させるため、9月末にいくつかの税制優遇措置を決定した。
この新しい税制措置の概要は次のとおり。
- 一般個人納税者向けの措置
- 2005年中に行われた免税団体への寄附は、調整後の総所得の100%まで、その寄附額を控除可能とする。寄附は、免税団体への寄附であれば、特にハリケーン被災者救援のものでなくても控除可能。(通常の年は50%まで)
- 企業(法人)向けの措置
- 2005年中の課税所得の100%まで、寄附した場合の寄附控除を可能とする(通常の年は10%まで)。ただし、追加分(90%分)の控除については、現金による寄附であり、かつハリケーン救済の活動をしている団体へ向けられたものでなければならない。
- 農業・畜産などの関連事業者が行った食糧による寄附については、その寄附分も控除対象とする。
- 公立の学校に対して教育関連の本の寄附をした企業は、その寄附分も控除対象とする。
- ボランティア向けの措置
- 救援活動の移動のために自家用車を用いたボランティアは、1マイルあたり34セントを控除可能とする。(通常の年は1マイルあたり14セントまで)
- ハリケーン・カトリーナの被災者を、60日以上自宅などに宿泊させた場合は、宿泊した1人について500ドル(合計の上限は2000ドル)を控除することができる。
これらの措置は、来年1月1日に期限が切れるため、「とりあえずの短期的な措置としてはいいが、これだけでは不十分。より包括的・長期的な措置が必要だ」とNPO関係者らは述べているという。
日本の国税庁にあたる米国歳入庁(IRS)では、こうした急な税制変更に対応しきれていない模様で、10月11日現在、これらの情報はまだホームページにさえ掲載されていない。