行政 : 連絡会、内閣府に認定要件緩和申し入れ
11月16日、全国38のNPO支援団体でつくる「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」は内閣府に対して、「認定NPO法人制度」の改正を求めて申し入れを行った。今年年末の税制改正作業で、認定要件の抜本的緩和を求めている。
11月16日(金)正午、全国38のNPO支援団体で組織する「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」(シーズは世話団体)は、昨年10月1日より施行された「認定NPO法人制度」の改正を求めて、NPO法人の所轄庁である内閣府(国民生活局)に申し入れを行った。
連絡会を代表して申し入れを行ったのは、雨宮孝子氏(明治学院大学教授)、川崎あや氏(アリスセンター事務局長)、名越修一氏(子どもNPO・子ども劇場全国センター理事)、早瀬昇氏(大阪ボランティア協会事務局長)、松原明(シーズ会事務局長)、山岡義典氏(日本NPOセンター副代表理事)。(50音順)
申し入れでは、山岡氏が内閣府の田口義明国民生活局長に連絡会の要望書「認定NPO法人制度に関する要望書(以下、要望書)」を手渡し、以下の要望を伝えた。
「現在の認定要件では、ほとんどのNPO法人が認定を受けられない上、認定要件にあわせるとどんどん自立できないようなおかしなことになってしまう。自立すればするほど、認定が受けられるような認定要件にしていただいて、NPO法人がしっかりと育っていける制度にしてほしい。」
要望書の主なポイントは以下の4点である。
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会員(社員)からの会費が多い団体や行政からの補助金等を受けて、活動している団体、地域で介護保険事業を行っている団体が、認定を受けやすいように認定要件(パブリックサポートテスト)を緩和する。
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認定のための申請書類が膨大となっていて、地域で活動する小規模のNPO法人が申請できない状態になっていることから、申請書類を緩和したり、小規模の法人に対しては簡易な認定要件を適用するなど、実態にあった認定要件に変える。
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認定を受けると、社員名簿や20万円以上の寄附者名簿、従業員の給与等が、税務署で公開される規定となっているが、個人情報保護の観点からこれを廃止する。
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個人寄附者の寄附金控除枠の拡大(1万円の足切りをなくす)や、法人の損金算入限度額を上げて、寄附しやすい制度とする。
認定NPO法人制度は、NPO法人のうち一定の要件を満たす法人(認定NPO法人)に税制上の優遇を与え、寄附金などを集めやすくする制度。2001年10月に施行されたが、全国の約2万3千あるNPO法人のうち、37法人しか認定を受けられておらず、制度の改善が求められている。
政府・与党は、現在進められている来年度における税制改正作業で、認定NPO法人制度の要件緩和を議題にあげて、検討を始めている。しかし、緩和の方向性や内容はまだ具体的に詰まっておらず、緩和を効果のあるものにするために、連絡会では内閣府に申し入れを行うこととなった。
要望の内容に関して、シーズの松原明事務局長は、「認定NPO法人制度がスタートして、すでにまる4年になるが、2万3千法人中37法人しか認定を受けていないのは、制度としては失格である。しかも、過去3回要件を緩和してきているが、効果は現れていない。現在、政府内で要件の緩和が検討されていると聞くが、NPO法人の実態にあった効果のある改正を望みたい。せめて、1000法人は認定を受けられるようにしてほしい」と語っている。
連絡会の要望書については、NPOWEBの下記を参照のこと。
https://www.npoweb.jp/news/news_info.php?article_id=2310