行政 : NPO兼職の議員、特別採決に
上士幌町議会では、同町の委託を受けているNPO法人の理事に、2人の同町議会議員が就任していることが地方自治法違反の可能性があるとして、12月12日、「議員資格」を有するか否かについて「特別採決」を実施。15人中7人が「有しない」という投票を行なったが、必要票数の3分の2に達せず、両氏は引き続いて議員を継続することとなった。
北海道・上士幌町議会では、今年9月5日の定例議会において、7名の議員から、同議会の他の2名の議員についての「資格決定要求書」を受け取っていた。
要求書は、この2名の議員が、NPO法人「ひがし大雪アーチ橋友の会」の理事に就任しており、同NPO法人が同町からの請負事業を行なっていることから、地方自治法第92条の2に違反する可能性があるとして提出されたもの。なお、2名の議員は、同NPO法人からの報酬は受けていない。
地方自治法第92条の2は、次のように定めている。
「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」
資格決定要求書を受けて、同議会では9月20日に「資格審査特別委員会」を設置し、本件の調査にあたってきた。
資格審査特別委員会は、12月の定例会で、両議員はいずれも議員資格を「有する」、という審査結果を報告。その理由として、NPO法人が同町から請け負っている委託事業のなかには、「実績清算」のものもあり、それを除外すると同町からの委託収入は、全体収入の半分に達していないこと、また、請負により利益を得ようとするものではなかったことなどがあげられたという。
同町では、この委員会報告を受けた後、12月12日の議会において、本件に関しての「特別採決」を実施。特別採決は、両議員2名を除いた15人の議員(議長含む)が記名投票するもので、3分の2以上の賛成で可決する。
結果は、「議員資格を有しない」という議案に対し、賛成した議員が7名、反対した議員が8名となり、議案の可決に必要な10票に達しなかったため、2名の議員は引き続いて議員資格を有することとなった。