行政 : 持続可能な開発のための教育
2002年12月の国連総会決議によって、2005年から2014年までの10年間は、「国連持続可能な開発のための教育の10年」とされている。政府は、この国連プロジェクトの実現にむけて、NPOとの連携などを盛り込んだ国内での実施計画案を策定。2月3日から2月23日まで、この計画案に対する意見募集を行っている。
「持続可能な開発」とは、環境保全と両立する開発のこと。「持続可能な開発」の概念は、1987年に、ブルントラント・ノルウェー首相(当時)を委員長とする「環境と開発に関する世界委員会」の報告書「われら共有の未来(Our Common Future)」の中で、初めて取り上げられた。
1992年の国連環境開発会議(地球サミット)では、「持続可能な開発」に関する行動計画である「アジェンダ21」が採択され、この中に、「持続可能な開発のための教育=Education for Sustainable Development」(以下、ESD)の指針が盛り込まれた。その後、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が中心となり、ESDのあり方に関する検討が始まった。
2002年に開催された「ヨハネスブルグ・サミット」において、日本は国内のNPOから提言を受け、「持続可能な開発のための教育の10年」(以下、「ESDの10年」)を提案。各国政府や国際機関の賛同を得て、同年開催された第57回国連総会で採択された。
これを受けて、政府は、2005年12月に「ESDの10年」関係省庁連絡会議を内閣に設置。2月3日に、「わが国における『国連持続可能な開発のための教育の10年』実施計画(案)」を発表した。
この実施計画(案)では、実施指針として「多様な主体の連携」が謳われ、「各地域においては、大学や教育委員会その他の教育関係組織、社会福祉協議会や地域のNPO等が、教育現場と地域の人材や施設、活動の場をつなげること」が必要だとされている。
また、NPOについては、「自発的に、共通の課題に対する意識を持った者が集まり、活動を行っているNPOは、ESDの実施主体として最も期待される主体の一つ」とされ、NPOに期待される取り組みとして、以下の5点があげられている。
- 環境保全、福祉の増進、まちづくり等各NPOが持つ個別のテーマのみならず、異分野と関わり合いながら活動を行うこと。政策提言活動、普及啓発活動、体験活動等の活動の中にESDを取り入れ、持続可能な社会づくりを意識した活動を行うこと。
- 各活動のテーマの専門性をもちつつ、ESDについて指導を行うこと。
- 多様な主体が連携した取組が促進されるよう、各地域においてプロデューサーやコーディネーターの役割を担い、学校教育、社会教育、企業内教育、地域活動等が連携したESDの取組を広げること。
- ESDの指導者、コーディネーターやプロデューサーの育成を行うこと。
- ESDの推進手法について、実践例を踏まえて研究・調査し、普及すること。
2月3日から、政府はこの実施計画(案)への意見募集を開始した。締め切りは2月23日。
「わが国における『国連持続可能な開発のための教育の10年』実施計画(案)」と意見募集については、環境省ホームページ内、下記を参照のこと。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6797