行政 : 環境NGOの共同提言
2月20日、「グリーンピース・ジャパン」、「国際環境NGO FoE Japan」、「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」、「地球・人間環境フォーラム」および「熱帯林行動ネットワーク(JATAN)」の5団体は、木材生産地の環境・社会影響に配慮した木材の利用を推進することを求め、「森林生態系に配慮した木材調達に関するNGO共同提言」を発表した。
世界の天然林は、毎年およそ日本の面積の約1/3の減少を続けているとされ、これ以外にも伐採などによる森林の劣化や植林地への転換が進んでいることが懸念されている。
世界の森林生態系保全のためには、植林を増進することよりも、まず森林の減少・劣化を食い止めることが必要だとして、「グリーンピース・ジャパン」、「国際環境NGO FoE Japan」、「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」、「地球・人間環境フォーラム」および「熱帯林行動ネットワーク(JATAN)」の5団体は、2004年10月には、「森林生態系に配慮した紙調達に関するNGO共同提言」を発表している。
今回、これら5団体は建材や家具などの木材製品に焦点を当てて、「森林生態系に配慮した木材調達に関するNGO共同提言」をまとめ、2月20日に発表した。
この共同提言では、木材製品を調達・販売、またはそれら木材製品を使用した建築物を発注する企業や行政機関に対して、森林破壊を阻止するために、下記6つの指針に沿った調達方針を採択するよう求めている。
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調達しているすべての木材製品の種類・量・使途を把握するとともに、それらに使われている木材の生産地における森林管理などの情報をすべて明らかにする。また、それらの情報が明らかにならない木質原料でつくられた木材製品は使用しない。
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調達する木材は、最低限合法性が確認されたものでなければならない。
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調達する木材は、保護価値の高い森林の生態系を破壊するものであってはならない。
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調達する木材は、地域住民や生産従事者の生活や権利に悪影響を及ぼしたり、利害関係者との対立や紛争が生じている地域からのものであってはならない。
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調達する木材が産出される森林の経営(植林を含む)は、元来の生態系に重大な影響を与えるという点で、利害関係者との対立や紛争が生じている天然林の大規模な皆伐を行っているものや、周辺生態系に著しい悪影響を及ぼす除草剤や肥料などの薬品の使用、遺伝子組み換え樹種を使用したものであってはならない。
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調達する木材は、天然林、人工林にかかわらず、独立した第三者機関によって審査され、生産から消費まで追跡可能な、信頼のおける森林認証制度により、適切な森林管理が行われているとの認証を受けたものの利用を目指す。認証材が入手可能でない場合は、認証に向かって継続的に改善をしている森林からの木材を優先して利用する。
5団体は、この提言の実現を促すために、今春、木材を取り扱う約400の団体(地方公共団体、企業など)に対して、この提言書に基づいて、各団体の木材の調達方針などに関するアンケート調査を実施する予定。
「森林生態系に配慮した木材調達に関するNGO共同提言」の詳細は、グリーンピースサイト内、下記を参照のこと。
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20060220_html