行政 : H16年、寄付金控除額は245億円
4月13日、国税庁は「平成16年度税務統計・申告所得税標本調査結果」を発表した。寄付金控除に関しては、平成16年度は控除適用者数が13万7千人で前年度に比べ18%増えたが、一方、寄付控除額は245億円で、前年度比3%減。平均控除額は15万2千円で、前年度比17%減だった。
所得税とは、その年の1月1日から12月31日の個人の所得に対して課される税金。つまり、給与、退職金や事業から獲得した利益、あるいは土地や株式などを売って得た利益などに対して所得税が発生する。
日本の納税者の多くはいわゆる「サラリーマン」で、年間の所得が2,000万円以下の場合には、年末調整により勤務先の事業所、企業が代わって税額を計算し、納税してくれる。
給与所得が2,000万円以上の場合や事業から獲得した利益がある場合は、確定申告により各自で確定申告書を作成し、原則として翌年3月15日までに申告、納税しなければならない。
また、確定申告をする必要のないサラリーマンでも、医療費控除、住宅借入金(取得)等、特別控除などを受けることができる場合には、確定申告をすれば源泉徴収された所得税が還付される。
この所得税控除の対象ひとつに寄付金控除があり、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人、社会福祉法人、学校法人、そして、認定NPO法人などに対して寄付をした場合、一定の控除を受けることができる。
国税庁による「申告所得税標本調査」は、昭和26年分から毎年実施されており、今回が52回目。調査結果は第1回以来、国税庁統計年報書に掲載されてきたが、昭和38年分から若干の解説と分析を加えて、「税務統計から見た申告所得税の実態」として公表されている。
この調査の目的は、申告所得税納税者について、所得者区分別・所得種類別の構成、所得階級別の分布及び各種控除の適用状況の実態を明らかにすること。あわせて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることも目的としている。
4月13日、平成16年度の「税務統計・申告所得税標本調査結果」が発表された。
この調査の対象は、平成16年分の申告所得税について、平成17年3月31日現在において申告納税額がある者の全て。したがって、所得金額があっても申告納税額のない者(例えば、還付申告書を提出した者等)は、調査の対象から除かれている。
調査は、全国524税務署より、所得者区分別・合計所得階級別に、一定の抽出率で標本を抽出して行われた。
平成16年分の調査結果の概要は、次のとおり。
- 納税者数は744万人で、前年より51万人(7.3%)増加。
- 所得金額は40兆1,855億円で、前年と比べると1兆8,634億円(4.9%)増加。平成6年(10年前)の44兆8,491億円と比べると4兆6,636億円(-10.4%)減少している。
- 税額は4兆5,533億円。前年と比べると769億円(1.7%)増加し、平成6年(10年前)の5兆9,491億円と比べると1兆3,958億円(-23.5%)減少している。
- 納税者の平均所得金額は540万円で、前年より13万円(2.3%)減少。平成6年(10年前)の545万円と比べると5万円(-1.0%)減少。
- 納税者1人当たりの控除額は148万円で前年と比べると9万円(-5.7%)減少。
寄付金控除に関しては、全所得控除額の0.2%の245億円。これは前年度に比べて3%の減少。平均控除額は15万2千円で、前年度比17%減。その一方で、控除適用者数は13万7千人で前年度に比べて18%増加している。
なお、平成16年は、台風による水害が多発し、中越地震が発生した年。この調査結果には、寄付金のうち、還付申告に係るものや確定申告していないものは含まれない。また、年間1万円を超える部分だけが控除の対象になること等から、税務統計に計上されない個人の寄付金は他にも多く存在したと推測できる。
「平成16年度税務統計・申告所得税標本調査結果」は、国税庁サイト内、下記に掲載されている。
http://www.nta.go.jp/category/toukei/tokei/h16/hyouhon.htm