行政 : NPOも環境目的の河川水使用が可能に
3月20日、国土交通省は、河川水を環境用水として使用する場合の水利許可基準を作成し、地方整備局や都道府県の関係部局に送付した。この許可基準では、地域のまちづくり計画に位置づけられて事業の確実性が確認されれば、NPOなども河川水利用の申請主体として認めるとしている。
河川法では、一級河川については国土交通大臣を、二級河川については都道府県知事を、準用河川は市町村長を河川管理者として定めている。
また、河川法では、上水道や工業用水等の目的で、河川から取水することを「流水の占用」とし、この「流水の占用」をする権利を「水利権」と定め、この権利は、河川管理者の許可を得なければならない。
今回、国土交通省が関係部局に送付した「環境用水に係る水利使用許可の取扱いについて」は、河川管理者以外の主体が河川の流水を使用して、身近な水路などに水を流すことにより、水路浄化や動植物の生息環境保全など環境改善に取組むケースを想定したもの。
同省によれば、「環境用水」とは、水質、親水空間、修景等の生活環境、または自然環境の維持、改善等を図ることを目的とした用水。その成功例として、仙台市の「六郷堀・七郷堀の事例」を挙げている。六郷堀・七郷堀では、農業用水が流れない冬季に、涸れた水路に流入する生活排水の悪臭などが問題となっていたが、平成11年から16年の5年にわたって、試験的に冬季に広瀬川からの水を流して効果を検証、改善が認められたとのこと。
各地で環境改善目的の通水が求められ、実施されているなか、同省は、「環境用水」として、河川管理者以外の者が河川の流水を通水する場合に必要となる河川法上の水利使用許可の取扱いに関する基準を明確にするため、「環境用水に係る水利使用許可の取扱いについて」を作成した。
「環境用水に係る水利使用許可の取扱いについて」では、既存の水利権はそのまま残し、河川管理者が「水利使用許可」を出すことで「環境用水」を通水できるとしている。さらに、その許可申請者は原則地方公共団体とするが、地域のまちづくり計画に位置づけられ、事業の確実性が確認されれば、NGOなども申請主体として認められるとしている。
また、許可期間は原則3年を限度とし、3年ごとに他の水利使用との関係も考えて見直すこと、環境改善の目的が達成できたか、許可対象者に定期報告を求めることなども盛り込まれている。
国土交通省による、環境用水に係る水利使用許可の取扱い基準の策定については、同省サイト内、下記を参照のこと。
http://www.mlit.go.jp/river/jirei/kankyoyosui/1_kisya.html