行政 : 岩手、佐賀でも認証権限移譲
4月1日から、岩手県一関市で、NPO法における所轄庁の権限が県から同市に移譲された。加えて、6月1日からは、佐賀県で、唐津市、鳥栖市、伊万里市、鹿島市の4市が県から権限移譲される。こうした権限移譲は、昨年4月の静岡県から静岡市への移譲に続くもの。
権限移譲とは、法令上都道府県の仕事となっている事務のうち、都道府県が市町村との協議の上、市町村が行うべきと判断されたものについて、条例を定めることで市町村がその事務を行えるようにすること。
地方分権化、市町村合併による市町村の規模拡大の動きの中で、住民サービスの向上、行政効率の向上、地域の実情に即した市町村行政の推進に向けて、知事の権限に属する事務の市町村への移譲が進んできている。
NPO法では、NPO法人の所轄庁は、その事務所が所在する都道府県の知事であるとされ(NPO法第9条第1項)、例外的に、二つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置するNPO法人の所轄庁は、内閣総理大臣とされている。(同条第2項)。
NPO法人の所轄庁の事務権限については、昨年4月に、全国に先駆けて、静岡県が静岡市へ移譲。同市では、静岡市のみに事務所を設置するNPO法人について、設立の認証、事業報告書等の受付、監督等の事務を所管している。
今年度、あらたに、4月1日から岩手県が一関市に権限を移譲。6月1日からは佐賀県の唐津市、鳥栖市、伊万里市、鹿島市の4市においても権限の移譲が決定している。
現在、他の所轄庁でもこのようなNPO設立認証等についての権限移譲は俎上に上ってきている。
なかでも、栃木県では、5月10日の市町村会議で、972の権限を市と町に移譲する方針が了承され、その中に、NPO法人認証等の事務権限も含まれた。移譲については、市町が移譲を受けるか否かを選択できる項目のひとつとされ、今後、県は、NPO法人の所管に関する具体的な事務作業についての説明会を開催して、理解を促し、権限の移譲を図っていく予定。実現すれば「・・町認証NPO法人」が誕生することになる。
こうした権限移譲の動きについて、シーズの松原明事務局長は、「地方分権は重要だが、NPO法の精神は、行政の恣意的な判断をなくして、法人の認証を行うべきであるというもの。よりNPO法人の現場に近い市町村に認証権限が委譲されることで、不必要な判断が入ることを懸念する。行政は、なぜNPO法人の認証を市町村に委譲するかを明確にした上で、委譲したとしても、恣意的判断が入らないように明確なルールを示すべきだ」と懸念を示している。