行政 : 中小企業庁「がんばる商店街77選」
5月30日、中小企業庁は、商店街活性化の優れたアイデアや成功事例を紹介する事例集「がんばる商店街77選」を公開した。改正中心市街地活性化法の施行により、まちづくりNPOへの期待が高まるなか、「77選」には地域のNPOとの連携による成功事例が数多く盛り込まれている。
1998年の中心市街地活性化法施行によって、いわゆる「TMO(=Town Management Organization)」(まちづくり機関)としての「認定構想推進事業者」が法制化され、各地の「TMO」が補助金、税制優遇措置、中小企業基盤整備機構による融資といった支援を受けながら、商店街の活性化にとりくんできた。
しかしながら、中小小売商業者数の減少や空き店舗の増加など、依然として商店街を取り巻く環境は厳しい。「TMO」には、商工会・商工会議所、第三セクター特定会社、財団法人がなれるとされていたが、2005年4月には中心市街地活性化法の政令が改正され、一定の要件を満たすNPO法人もTMOになれるようになっていた。
さらに、今年になる中心地市街地活性化法はスキームが大幅に変更された。
6月7日に公布された「改正中心市街地活性化法」では、「TMO」に代わる「中心市街地活性化協議会」が法制化され、NPO法人を含むより多くの主体が参画した活性化推進が図られることになった。
こうしたなか、中小企業庁は、商店街活性化の優れたアイデアや成功事例を紹介する事例集「がんばる商店街77選」をまとめ公開した。
この事例集では、全77事例を次の3項目に分類して掲載している。
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にぎわいあふれる商店街
にぎわいが再生したまちや活性化が図られている商店街における取組事例(32事例) -
アイデア商店街
独自性のある取り組みやアイデアあふれる事例(30事例) -
まちづくりと一体となった商業活動
にぎわいあふれるまちづくりの参考となる事例(15事例)
それらの事例には、商店街と地域のNPOが連携して活気のあるまちづくり、商店街の活性化に成功した例が盛り込まれている。
一例を挙げると、「アイディア商店街」として、佐賀市「呉服町名店街」におけるNPO法人「子どもの本屋ピピン」と市の職員との連携による空き店舗活用が紹介されている。
「子どもの本屋ピピン」は、子どもを取り巻く読書(文化)環境を整えることをミッションとするNPO法人。
このNPO法人が運営する子どもの本の専門店が住宅街の店舗から立ち退きを通告された折、佐賀市の街づくり推進課に相談。市は商店街の空き店舗への移転を勧め、商店街と交渉。
大工仕事が得意な市の職員が中心となって改装作業を行ったことが、商店街や隣接する地域の人たちの共感を得て、木材提供などの支援の輪が広がり、ひいては地域コミュニティの再生も促すことになったという事例が紹介されている。
中小企業庁の担当者は、「今国会で成立した『改正中心市街地活性化法』は、商業振興だけではなく、『まちづくり』に主眼をおき、広い意味での地域コミュニティの活性化によって商店街に賑わいを取り戻そうとするもの。そのためには、NPO法人などを含めた地域の多様な主体が連携することが不可欠。空き店舗の活用、自主防犯活動、地域通貨、バリアフリー化など、地域のNPOがまちづくりに果たす役割は大きい。商店街の人たちだけでなく、まちづくりにとりくむNPOの人たちにも、この事例集を参考にしていただきたい。」と語っている。
「がんばる商店街77選」は、経済産業省中小企業庁サイト内、下記に掲載されている。
http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/060530shoutengai77sen.htm