行政 : 改正道路交通法、福祉NPOへの影響
6月1日から改正道路交通法が施行され、駐車違反の取り締まり業務の民間委託が可能になり、違反車両を確認した時点でステッカーが貼られて即違反となるなど、違法駐車の取締りが強化された。この改正を受けて、障害者や高齢者を対象に車を使った活動を行っているNPOなどから、活動に対する影響を懸念する声が上がっている。
送迎ボランティアが車を運転して、車いすの人やお年寄りを施設に送った場合、自宅から乗車まで、あるいは降車後に建物に入るまでの間、介助のため同行することが必要。改正道路交通法による取締り強化によって、こうした折に短時間でも車を離れると駐車違反とされてしまうことになる。
また、車を使った高齢者向けの配食サービスの場合、一人暮らしの老人は配達者と会話と交わすことを心待ちにしており、そのことも大切な活動の一部となっているが、お年寄りの話に耳を傾けていたら駐車違反になってしまうので、慌しく立ち去ることを余儀なくされてしまう。
こうした懸念を受けて、施行に先立つ4月26日、高齢者や障害者などの生活を支援している全国の福祉系NPOのネットワーク組織、NPO法人市民福祉団体全国協議会は、「歩行困難者を輸送するための車両(福祉有償運送車両、ボランティアによる移動サービス中の車両)が、歩行困難者を移送介助する間は、駐車違反の対象外としてほしい。」と厚生労働省に申し入れを行っている。
厚生労働省老健局振興課によれば、「6月1日からの道路交通法の改正によって、具体的に福祉の現場にどのような影響が生じるのか、また、各都道府県の公安委員会でどのような対応をしているのかなどの情報や事例を収集している。それによって、今後の対策を考えたい。」とのこと。
市民福祉団体全国協議会では、今後、各地の福祉の現場の声を集めた上で、介護やボランティア団体の車が駐車禁止除外指定車の標章を交付されるようにする、または福祉有償運送車両、ボランティアによる移動サービス中の車両が、移送介助する間は、駐車違反の対象外とする旨を条例で定める、といった解決案を警察庁に申し入れていきたいとしている。
同協議会の福原秀一氏は、ボランティア、たすけあいの移送や配食サービスが道路交通法の影響で滞ってしまうことへの懸念とあわせて、「改正法の施行で起こる、立法趣旨に反した、あるいは予想しなかった弊害は、即刻取り除くよう努力しないと、思わぬ事故に繋がる可能性もある。」と訴えている。