行政 : 総務省、団塊世代の過疎地移住促進を提言
5月25日、総務省の「人口減少自治体の活性化に関する研究会」(座長、島田晴雄・慶大教授)は、いわゆる「過疎地域」における人口減少対策の報告書を公表した。報告書には、近々「団塊の世代」の大量退職期をむかえることから、現地のNPOなどと連携した情報発信や空き家活用など、都市から地方への移住促進策が盛り込まれている。
今年の3月、総務省は人口減少に伴う地方自治体の活力低下を防ぐため「人口減少自治体の活性化に関する研究会」(座長・島田晴雄慶大教授)を発足。4回の会合を経て、5月25日に報告書「人口減少社会を福となす-健康生活立国宣言-」を公表した。
報告書によると、今年4月1日現在、1820ある市町村のうち、約4割にあたる739市町村が人口減少が著しい「過疎地域」。その面積は日本の国土全体の54%に及ぶとのこと。
一方で昨年11月の内閣府調査では、都市に住む50歳代の人のうち3割弱が農村漁村への移住願望があるという。
このような状況を受けて、報告書では、2007年から始まる団塊世代の大量退職をにらんだ大都市から人口減少自治体への人材誘致・移住促進政策のあり方について、移住を促すための「情報発信の強化」、空き家など「既存ストックの活用」などを、NPOとの協働事例などを紹介しつつ提言している。
「情報発信の強化」では、NPO法人ふるさと回帰支援センターと総務省などが共催した「ふるさと回帰フェア2005」の例を挙げ、多くの自治体担当者や移住体験者から生の声を聞くことのできる相談会などを積極的に開催していくことが必要だとしている。
また、「既存ストックの活用」では、空き家活用事業の例として、島根県江津市のNPO法人が行っている、「空き家バンク」などをあげている。
加えて、構造改革特区の導入などにより既に行われた規制緩和については、積極的にその有効活用を図るとともに、依然として人材誘致や移住促進の阻害要因になっている規制については、その廃止や緩和等の見直しを行うことが必要だとしている。
NPO法人に関連した「有効利用すべき規制緩和の例」としては、NPO法人等が公共交通機関が空白になっている過疎地において有償運送を行うことが認められたことや、NPO法人や株式会社などが農地を貸借して市民農園を開設できるようになったことなどをあげている。
他にも、地方への移住希望の退職者と、人口減少が進む地方の橋渡し役となる「移住コンシェルジュ(世話係)」を各地に配置することなどが提唱されている。
総務省の公表した「人口減少社会を福となす-健康生活立国宣言-」は、総務省サイト内、下記に全文が掲載されている。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060525_2.html