行政 : 東京都、豊かな「公」はNPOで実現
7月13日、東京都は、昨年11月に策定した「行財政改革の新たな指針」を踏まえ、都の行財政システム改革の具体的内容を明らかにした、「行財政改革実行プログラム」を策定して公表した。豊かな「公」の構築に向けて、NPOとの協働を積極的に行っていくとしている。
東京都が「行財政改革実行プログラム」の策定にあたって、「改革の柱」としているのは、下記の3点。
- 多様な主体が関わる豊かな「公」の構築
- 政策対応力の高い執行体制の確立
- スリムで効率的な行政運営の実現
これらに基づいて、「行財政改革実行プログラム」では、212項目の実施計画を示している。
計画期間は、18年度から20年度の3年間。
NPOに関する主な計画は、「1.多様な主体が関わる豊かな「公」の構築」のなかに盛り込まれている。
「豊かな「公」の構築」に向けて、都としては、「「公」を担う多様な主体として、都民、企業、NPOなどを想定。これらの主体との連携を図るとともに、「地域力」の育成にも努め、区市町村への権限移譲などを進めるとしている。また、指定管理者制度や市場化テストなど、新たな経営改革手法を積極的に導入することで、民間事業者の力を活用して、一層効率的な行政運営に努めるとしている。
NPOとの連携による具体的な計画としては、下記の4点が示されている。
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「公」を担う多様な主体の育成
新たに「公」を担うものとして、ソーシャル・アントレプレナー(社会的企業家)の育成支援も含め、社会貢献活動を担う企業、NPO、区市町村と、「地域力」の主な担い手である自治会・町会などとの連携や育成支援を図る仕組みを検討し、モデル事業を実施。特に、NPOについては、東京ボランティア・市民活動センターを通じて設立・運営支援を行うとともに、各局事業の円滑な実施を支援するため、NPOの活動情報などを収集整理して提供していく。 -
環境対策における協働
環境問題への取組において、都民、企業、NPOなどと連携する仕組みを検討し、協働をさらに推進する。「自然エネルギーつみあげ倶楽部(仮称)」を立ち上げ、企業、NPO、区市町村などとともに、再生可能エネルギーの利用拡大を図るため、再生可能エネルギーの利用実績を公表し、利用拡大を促す仕組みを構築する。また、平成19年度に、遊休地や鉄道敷地などにおいて「街のすきま緑化プロジェクト」をモデル実施するとともに、企業やNPOと連携した自然保全活動である「東京グリーンシップ・アクション」などの取組を毎年20回程度実施する。 -
子ども安全ボランティア活動の推進
登下校時などの子どもの安全を確保するため、情報交換の場を提供するなど、自治会・町会、PTAや地域住民などが有機的に連携する仕組みを構築するとともに、防犯ポータルサイトの機能向上を図り、各団体の活動の活発化・連携を図る。 -
公園・道路・河川における都民・ボランティアなどとの協働
公共施設の維持管理において、都民、ボランティア団体、企業、NPOなどと協働する。都立公園・霊園では、花壇管理、環境教育、清掃、ガイドなどの活動の推進に取り組む。都道では、道路の清掃や植栽の手入れなどの道路美化活動を行う「東京ふれあいロードプログラム」を推進し、各年10団体程度を目標に参加団体の増加をめざす。
また、「1.多様な主体が関わる豊かな「公」の構築」では、公益法人制度改革に関連して、都の監理団体の改革にも言及。
公益法人制度改革は、公益性の判断基準の明確化や手続の透明性の向上などにより民間非営利部門の活動を促進するものであり、公益法人である監理団体は、制度改革の動向を踏まえた適切な対応が求められていると指摘。
平成18年度は、成立した関係法の内容を踏まえて制度改革による影響などを分析。平成19年度には、同年に公表が予定される制度運用指針などに基づき、個別団体ごとに具体的な指導を実施。さらに、20年度には各団体への対応方針を決定して、公益認定基準への該当状況を踏まえて、公益性を一層向上する、あるいは団体や法人形態の転換を検討するなど、適切に指導・支援を行っていくとしている。
東京都の「行財政改革実行プログラム」は、都の総務局行政改革推進部ホームページ内、下記に掲載されている。
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/02gyokaku/