行政 : NPO15団体、福岡市長選で公開質問
11月19日に投開票が行われる予定の福岡市長選に先立ち、10月16日、福岡市内で活動するNPO15団体が、立候補予定者6人に対して、市民活動に関する政策について公開質問状を出した。10月30日に公開された立候補予定者4名からの回答によれば、4人中3人が認定NPO法人に対する寄付金控除について、市民税についても所得控除を認める制度を創設する考えがあると答えている。
福岡市長選は、11月5日に公示され、11月19日に投開票が行われる予定。
公示に先立つ10月16日、福岡市内で活動するNPO15団体は、選挙後の政策提言活動に活用していく目的で、6名の立候補予定者に対して、市民活動に関する政策について公開質問状を送った。
公開状が送られた立候補予定者は下記の6名(アイウエオ順)。上田光彦氏、清水とし子氏、高山博光氏、山口敬之氏、山崎広太郎氏、吉田ひろし氏。
回答期限の10月28日までに、6人中4人が回答を寄せたが、山口敬之氏と山崎広太郎氏からは回答がなかった。
15団体は、10月30日に記者会見を行い、公開質問状への回答結果を公表した。
各立候補予定者に送られた公開質問状と、回答結果は以下のとおり。
福岡市市長選挙に関する公開質問状
2006年10月16日
福岡市市長選挙立候補予定者 各位
特定非営利活動法人アジア水中考古学研究所
代表 林田憲三
特定非営利活動法人明日のカンボジアを考える会
代表 安部昌明
特定非営利活動法人ウェルビーイング
代表 西本美恵子
特定非営利活動法人患者の権利オンブズマン
代表 池永満
特定非営利活動法人子どもNPOセンター福岡
代表 大谷順子
特定非営利活動法人シニアネット福岡
代表 有吉和利
特定非営利活動法人市民オンブズマン福岡
代表 児嶋研二
特定非営利活動法人循環生活研究所
代表 波多野信子
特定非営利活動法人チャイルドライン「もしもしキモチ」
代表 渕上繼雄
特定非営利活動法人箱崎自由学舎ESPERANZA
代表 小田哲也
特定非営利活動法人福岡ジェンダー研究所
代表 喜多加実代
特定非営利活動法人福岡すまいの会 代表
小宮豊
特定非営利活動法人NGO福岡ネットワーク
代表 吉野あかね
JVC九州ネットワーク
代表 重田康博
福岡市子ども劇場連絡会
代表 矢野里美(連絡先)
福岡市中央区警固2丁目12番17-704号
赤塚和俊公認会計士事務所
TEL:092-726-2226 FAX:092-726-2227
E-mail kakatsuka@hotmail.com
福岡市市長選挙立候補予定の皆様
私たちは福岡市内で活動するNPO法人・市民団体有志です。このたびの福岡市市長選挙における立候補予定の皆様の、市民活動に関する具体的な政策に対するご意見についてお尋ねします。
別紙の質問について、1.推進する、2.反対する、3.その他、のいずれかの□に
チェックして下さい。3.その他の場合は必ずコメント欄にご記入をお願いします。また、推進、反対の場合もコメントがありましたらご記入下さい。
勝手ながら10月28日(土)までに、上記の連絡先まで郵送もしくはFAXにてご回答下さいますようお願い致します。ご回答は記者会見にて公表し、また各団体のホームページ等で広報させていただく予定です。
なお、この公開質問は、選挙後の政策提言活動に活用するために行うものであり、特定の候補者の選挙運動に利用するものではありません。
質問と立候補予定者の回答
立候補予定者名は50音順(敬称略)
1 NPO法人等の市民団体による市民の自主的な公益活動を福岡市として支援しようと思いますか?
-
上田光彦:
推進する:NPO活動は市政を活性化し、市民の声を反映し、草の根の活動としての役割が大と考える。支援したい。 -
清水とし子:
推進する:NPOの活動は、文化・芸術、環境保全、福祉・医療、社会教育、人権など幅広い分野で、重要な役割を果たしています。市民の自主的な活動や社会貢献への参加が広がっていくことは、日本社会の発展にとっても大切なことです。行政によるNPO支援の充実を国に要望するとともに、市としても支援を拡充します。 -
高山博光:
推進する:公設オンブズマンを置きたい。 -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
推進する
2 小中学校の統廃合の結果生じた空き教室等をNPO法人等の市民団体の活動スペースとして、たとえば3年間の期間限定で無償もしくは低額で貸し出すという政策をどう思いますか?
-
上田光彦:
推進する:大変有効な政策で賛成である。当初は2年間の低額で貸し出したい。 -
清水とし子:
推進する:活動スペースの確保を支援することは大切なことです。空き教室の活用については学校側との十分な調整が必要だと思います。 -
高山博光:
推進する -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:今回の選挙に際しましては、公約として、「NPOと協働し、提案公募型事業を始める」との内容を掲げております。そのほかの施策につきましては、関係者・識者の皆様にご意見をうかがいつつ、どのような形で進めるのがよいか、検討していきたいと考えています。9月以来、「聞きたかけん。」と称してミニ集会を開き、NPOの関係者をはじめさまざまな職種・立場の方からご意見をうかがってきました。その中で、NPOやボランティア団体などの方々が持っておられる専門的な知識や情報を行政に活かすべき、と考えております。今後も引き続き皆様のご意見・ご指導を賜りたいと思います。
3 千葉県市川市の1%条例(市税の納税者が指定するNPO法人等へ、その納税額の1%を市の補助金として交付する制度)と同様の制度を導入する考えはありますか?
-
上田光彦:
推進する:非常に興味深い制度で導入したい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
無回答 -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:(2に同じ)
4 福岡市にNPOバンクができるとしたら、福岡市も市民の出資と同額を限度として出資する(ただし運営は第三者機関が行い、市は介入しない)という政策をどう思いますか?
(注) NPOバンクとは、市民が小額の資金を広く出資して、銀行などが融資をしない、地域の役に立つ市民の事業に資金を融資する仕組みです。出資者に配当を行わず、運営もボランティアベースで行うことにより非営利事業に低金利で融資を行うことができ、融資先の事業により地域社会がよくなってゆくことを出資のリターンと考えています。こうした市民による手作り金融であるNPOバンクが今、全国各地域に広がりつつあります。
-
上田光彦:
推進する:素晴しい政策と思う。推進したい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
推進する -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:(2に同じ)
5 NPO法人の所有する固定資産や軽自動車について、たとえば千葉市や浜松市のように固定資産税や軽自動車税を減免するという政策をどう思いますか?
-
上田光彦:
その他:軽自動車は減免したいが、固定資産税の方は、ある限度額以下と制限をつけたい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
推進する -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:(2に同じ)
6 現在、NPO法人は法人税法上の収益事業を行わない場合に限って、法人市民税の均等割が免除になっていますが、NPO法人の行う収益事業は零細規模のことが多く、これだけでは不十分です。極端な例では10万円の売上があるばかりに5万円の均等割を負担することになります。これを避けるためにたとえば愛媛県松山市等では、収益事業を行っていても課税所得40万円未満の場合は均等割が免除になっています。福岡市でも同様の制度を導入する考えはありますか?
-
上田光彦:
その他:導入する考えはある。課税所得の額は、40万円未満ではなく、再度検討したい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
無回答 -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:(2に同じ)
7 認定NPO法人に対する寄付金は所得税の寄付金控除を受けることができますが、市民税の控除を受けることはできません。市民税についても所得控除を認める制度を創設する考えはありますか?
(注) 認定NPO法人とは、NPO法人のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けているものをいいます。認定NPO法人に対して寄付を行った個人は所得税の寄付金控除を受けることができます。
-
上田光彦:
その他:市の財政状況を考えて、将来、その方向で検討したい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
推進する -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他 :(2に同じ)
8 現在、福岡市においてもNPO法人等の市民団体と行政との協働が進んできています。これに伴い、委託費や補助金などが提供される機会が増えてきておりますが、ほとんどの場合、人件費に充てることが認められておりません。これを改善し、人件費の計上を認める考えはありますか?
-
上田光彦:
その他:人件費を段階的に一部認める方向で検討したい。 -
清水とし子:
推進する -
高山博光:
推進する -
山口敬之:
無回答 -
山崎広太郎:
無回答 -
吉田ひろし:
その他:(2に同じ)