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2006年11月13日 10:00

行政 : 自立した地域社会推進、自治体フォーラム

 「市民・NPOとともに築く自立した地域社会」をテーマに、NPO活動推進自治体フォーラム滋賀大会が11月8日、9日の2日間、滋賀県大津市の県立芸術劇場びわ湖ホール及び県立県民交流センターで開かれた。千葉県、横浜市での開催に続き、第3回目となる今大会では、千葉県、高知県、佐賀県、滋賀県の知事及び神奈川県大和市長のディスカッションが行われ、自治体職員、NPO関係者をはじめ初日470名(参加者数)、2日目262名(申込者数)の参加者があった。

 

 地域課題に取り組む市民活動と自治体の協働が推進される中、11月8日、9日に開催されたNPO活動推進自治体フォーラム滋賀大会では、協働のあり方、新たな公共の担い手としての地域の力について、基調講演、知事・市長セッションをはじめとして2日間に渡って議論が行われた。

 初日に行われた基調講演では、社会福祉法人大阪ボランティア協会事務局長・NPO法人日本NPOセンター副代表理事 早瀬 昇氏が、「市民自治を拓く『協働』に向けて」をテーマに、「自発性を励ますものは、自発性しかない」、「住民の自発性のない協働は、単なる委託である」といった表現で協働のあり方について話した。

 続いて行われた知事・市長セッションには、堂本暁子千葉県知事、橋本大二郎高知県知事、古川康佐賀県知事、嘉田由紀子滋賀県知事、土屋侯保大和市長が登壇した。

 堂本知事は、NPO立県は、地域の力によるボトムアップによって実現するものであり、多様な主体によるガバナンスが必要であると話した。また、協働は地域住民に近い市町村が行うべきとし、市町村と県と県民で協働する千葉県の新たな取り組みを紹介した。

 橋本知事は、行政サービスは、一方通行との考えを述べ、地域がリーダーになれば、行政担当が変わっても課題への取り組みに支障が出ないと語った。そのためには、地域の人材をどうつくるかが課題であると話した。取り組みとしては、県職員が地域の現場に出て支える方法として、地域7ブロックに分け60名の地域支援委員を配置していることを紹介した。

 古川知事は、NPO法人や市民活動、ボランティア団体に限らず地縁組織を含めた組織を市民社会組織(CSO)とし、7つの市にCSOを支援するためオフィスを設置していること、またCSOを応援するポータルブログをつくっていることの紹介があった。スモールサクセスであっても協働して良かったことは、広げて行けばよいことを語った。

 嘉田知事は、従来からある地域組織、新たにできたNPOの組織、両者と行政のかかわりが課題と指摘した。「“もったいない”を活かす『対話でつなぐ県政』を」をもっとうに掲げて、対等な立場での意見交換により互いにとってのより良い協働推進を行っていると語った。

 土屋市長は、市民参加の先にあるものは、自治でありその先にあるものが協働であると話し、条例案を100%市民が作って成立した条例を紹介し、自治体は学校であり、やり続けることが民主主義であるとの持論を展開した。

 セッションの中では、主に4つの大きな今後の課題として、「協働の活動をもっと広げるには、どのようなところに広げたら良いか。」、「市民、NPOの人材の問題、行政活動そもそもを変えていく職員をどう育てるか。」、「行政とNPOとの協働を考え、従来の組織を含めたテーマ型の組織と行政との協働をどうするのか。」、「市町村を巻き込んだ協働をどうするのか。」が取り上げられ、5人の首長が議論を交わした。

 2日目は5分科会に分かれ、各テーマにより議論された。

 第1分科会は、「協働をすすめるための行政職員の意識改革」をテーマに分科会参加者による寸劇が行われ、課題抽出、解決方法をグループワークにより論議。組織を楯にしないで取り組むことの重要性が導き出された。

 第2分科会は、「行政のNPOへの財政支援のあり方」をテーマに自治体としての財政支援、社会としての財政支援について事例報告をもとに論議し、社会全体で資金ルートを考えることが必要であると導き出された。

 第3分科会は、「協働事業に対する評価-協働の実践を広げるための評価とは-」をテーマに事例報告をもとにしたワークショップが行われた。アウトプットの評価、アウトカムの評価の必要性が確認され、本来手段である協働が、目的となっている現状が指摘された。

 第4分科会は、「みんなで考えよう-地縁型住民組織・NPO・行政の新たな連携-」がテーマ。事例報告後、報告者によるディスカッションが行われた。地縁組織を活性化させるために、行政との連携で何をすべきかが議論された。

 第5分科会は、「NPOと行政との協働とは?なぜ今協働が必要か?」をテーマに協働についてのイメージワークを行い、ワークショップでは、協働についてNPOと行政との考えには温度差があると指摘された。

 最後にクローズセッションとして、各分科会のコディネーターによる報告後、次回への課題を確認しフォーラムを閉会した。

 来年のフォーラムは、佐賀県で開催される。

 初日の知事・市長セッション終了後に5人の首長が下記の共同アピールを発表した。


市民・NPOとともに築く自立した地域社会

- NPO活動推進自治体フォーラム滋賀大会 -

共同アピール

 私たちは、これからの自立した地域経営は、市民、NPO、企業、行政など地域の多様な主体がそれぞれの活動や協働を通して公共的役割を果たしていくことが必要であるという認識を新たにし、次の取組を進めていきます。

  1.  地方分権に基づく住民自治のさらなる進展を図り、公共サービスを多様な主体が担っていく仕組みを確立するため、自治体職員の意識改革と行政改革をさらに推進していきます。

  2.  市民の満足度が高まり、社会情勢に柔軟に対応できるよう、適切な評価も取り入れた行政とNPO等の確かな協働の仕組みを構築し、相互信頼に立った協働を推進していきます。

  3.  NPO活動推進自治体ネットワークの輪をさらに拡げ、連携を強化しながら互いに学び、政策を高め合って、それぞれの地域の特性が活かされる市民本位の自治の実現を目指します。

平成18年11月8日

千葉県知事 堂本 暁子

大和市長 土屋 侯保

高知県知事 橋本大二郎

佐賀県知事 古川 康

滋賀県知事 嘉田由紀子

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