行政 : ゆめ風基金、「障害者市民防災提言集」
NPO法人「ゆめ風基金」は、今年9月に、障害者の声をもとに編集した「障害者市民防災提言集」を出版。11月25日には、提言集完成記念シンポジウム「災害時における障害者市民の支援のしくみ」を開催した。
NPO法人「ゆめ風基金」は、阪神淡路大震災を契機に設立された被災障害者の支援を行う団体。作家の永六輔氏が基金の呼びかけ人代表となり、これまで数々の自然災害に遭った障害者の団体に、物資や見舞金の支援を行ってきた。
当初は震災後10年を活動目標にしていたが、災害弱者の問題が依然として解決していないことから、呼びかけ人代表を歌手の小室等氏にバトンタッチして活動を継続している。
今年9月、ゆめ風基金は「障害者市民防災提言集」を出版。この提言集作成のために、ゆめ風基金は全国の150人の障害者に対して、災害支援のあり方についてアンケート調査を実施。その結果をもとに、災害前の備え、災害時、復興時の3段階における、合計15項目の提言をとりまとめた。提言集には、各項目ごとに、障害者市民の意見、改善すべきこと、現在の法律や支援のあり方などが解説として盛り込まれている。
具体的には、災害前の備えとして、「頼りになるのはお隣りさんと、ふだんのつながり」(提言3)の項で、障害者市民などの支援には、地域のネットワークとともにふだんの介護・福祉サービスのつながりが重要であることを指摘。
また、災害時には、「『家のほうがマシ』な避難所は行く気がしない」(提言6)として、避難所の改善を求めている。
さらに、復興時は、「新たなまちづくりはバリアフリー化のチャンス」(提言14)だとして、災害復興のまちづくりに障害者市民が参加できるルールづくりが必要だと提言している。
この提言集には、災害時の障害者支援に関連する24のコラムも掲載。コラムのひとつでは、体育館などの避難所で、要介護者の介護等の際にプライバシーを確保するために考案されたダンボール素材の簡易間仕切りなども紹介されている。
ゆめ風基金は、11月25日に、提言集完成記念シンポジウム「災害時における障害者市民の支援のしくみ」を開催。障害者や行政の防災担当者など5人が登壇。避難所の改善策などを中心に議論が行われた。会場では、80名の参加者が、登壇者の、「障害者のための福祉避難所の増設が求められているが、それ以上に、障害者が地域の人と一緒に逃げられるるように、一般の避難所を障害者対応にすることが重要ではないか。」といった意見に熱心に耳を傾けていたとのこと。
ゆめ風基金の担当者は、「障害者市民、関係者・関係団体、自治体など幅広い人たちが課題を共有し、解決の糸口をつくるための情報を提供するために、この提言集を出版した。これまでの災害支援での問題点や関連コラムなど、さまざまな情報も盛り込んでいるので、今後の災害に対する防災・減災に役立ててほしい。」と、語っている。
「障害者市民防災提言集」(A4版88ページ 500円 送料1冊40円)の詳細、注文方法については、「ゆめ風基金」サイト内、下記を参照のこと。
http://homepage3.nifty.com/yumekaze/teigenshuu.htm